未来を置き去りにしてバイトをする
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124:名無しNIPPER[saga]
2018/05/17(木) 04:04:42.90 ID:aS5DfyA80
そんなことにほくそ笑む自分に嫌気が刺してきたころ,数基のガントリークレーンがその首を天高く持ち上げているのが見えてきた.丁度,貨物船に載せられ

たコンテナを港へ運び入れているらしく,コンテナがゆっくりとスライドしながら船上から現れるのが分かる.

「これまでは人間が.ガントリークレーンに乗り込んで高度数十メートルから操作していたそうですよ.今では,画像認識の技術が発展して,砂漠の中から蟻

を見つけ出すことさえ可能になったのでAIが代わりにやっているはずです」

赤と白で交互に塗られた巨大なガントリークレーンのどこかに,AIが備わっているのだろう.これがもし故障して,暴れたら大変だなと他人事のように思った.

目的の大倉庫はガントリークレーンからすぐ近くの埠頭にそって立ち並んでいた.

三角屋根にしっかりとした構えで,その口は長方形の扉で閉ざされている.

男仁さんは無警戒に,道路から外れ大倉庫の敷地へ入っていく.

慌てて,僕もついていく.ガントリークレーンのある方向からのコンテナを運ぶ雑音に紛れて,倉庫内でなにか重いモノが移動する音がする.

大男である男仁さんの二倍以上の高さをもつ扉の前に立った,男仁さんが辺りを見回す.

「さて,ここで待ち合わせの予定なのですが...姿が見えませんね」

確かに,目に入るものと言ったら敷地の隅に置かれたフォークリフトくらいだ.

「ほっほっほっ,ここにおる」

鈴の転がるようなハスキーボイスが,すぐそばから聞こえた.

ぎょっとして背後を振り返ると,扉の奥から茶目っ気たっぷりな咳払いが聞こえた.

「開けてやるから,ちょっと下がっておれ」

ゴゴゴという重低音と共に,扉がスライドして横に移動する.

そこから,現れたのは一人の美しく若い女性だった.

燃えるようなブロンドの髪と,白いワイシャツ越しにでも分かる豊満な胸.

そして,黒色のスカート越しに覗く肉付きのよい太腿が僕から言葉を奪った.

呆気に取られていた僕の手をとって,彼女は目を細めて,人懐っこい笑顔を浮かべた.

「初めまして,ここの港湾管理者である犬井剛子じゃ」

今この瞬間,僕の身にカルチャーショックが起きた.PAIがいたならば,即AEDを勧めていただろう.

なんだこの可愛い生物は.


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