未来を置き去りにしてバイトをする
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123:名無しNIPPER[saga]
2018/05/16(水) 04:01:31.66 ID:Wnz2PVY60
曖昧な微笑みを返す僕に,男仁さんが人差し指を挙げて説明してくれる.

「簡単に言えば,こうです.我々は自分らと同等,あるいはそれ以上の知能を持つ存在とどう接するべきか悩んでいるのですよ.敬意を払うべきという方もい

ますし,あくまで人類が創造主なのだから,被創造物に『遠慮』は必要ないという方もいる.ただ彼らに共通しているのは,それが人類に仇なす存在になった

ときを恐れているということです」

朝,PAIにそんな話を聞かされた気がする.PAIの意見では,人工知能が人類に反逆する可能性があると言っていたが,実際人類側は誰にも分かっていないよう

だ.そして誰も未来への責任はとれないでいる.それも当然なのだと思う.一人で背負うには重すぎるから,みんなで考えて背負う必要があるのだ.

「そういった事情を踏まえればこれから向かう大倉庫の管理者は非常な変わり者です.

なんと.彼はそこで働くロボットに知能を与えることを許可したのです.だから.大倉庫へ着いたら,百地さんも頭に入れておいてください.一見彼らの振る

舞いは人間的ですが,AIであるということを」

PAIみたいなことを言うのだな,と僕は思った.

PAIを始めとして一般的な人工知能は知性が備わっていて,感情があるように見せているだけだ.

出会った当初,PAIは自身のことをそう表現した.それが原因で僕はPAIに名前を付けなかったのだが,今思い出すと

なんだか胸がムカムカしてくる.この苛立ちにも似た不快な感情の原因を今のPAIは説明できるのだろうか?

もしできるなら,所詮機械だったはずのPAIが,僕よりも百地悠真のことを理解していることになる.

僕はすこしだけ,愉快な気持ちになった.


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