大石泉「気遣う心に、ちょっとだけ下心」
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8:名無しNIPPER[sage]
2018/02/27(火) 23:23:36.40 ID:A9Mm8babo

 ちらりと視線を送って、泉は言った。なんてわざとらしくて、分かりやすい。彼の発言を逆手に取っている。こんな時間には危ない人がいるかもしれないと、そう言ったのは彼なのだから、その発言の責任は取らないといけない。
 送っていってくれる人ではなくて、一緒に帰る人にならないといけない。
 つまりは、家にも帰らずに仕事を続けようとする彼への、泉の遠回しな気遣いだった。
 ……まったく、なんてことだ。アイドルに心配をかけていてはいけない。アイドルに心配をかけるようなプロデューサーなんて、そんな奴に誰が信頼を預けたいと思うんだ。
 まだ少しだけ熱いお茶を、一気に飲み干した。
 わざとらしくもありがたい、少女の気遣いを受け入れることにしよう。

「わかったよ、一緒に帰ろうか。……まあ、と言っても、襲うかもしれないらしいけどな」

 なんて冗談混じりに返してみると、泉は少しだけムッとしてから、顔を赤くして。

「もう……プロデューサーなら、大丈夫だよ」

 と、言った。信頼されてるなあ、と彼は思ったが、泉が言葉に込めた意味は、たぶん。
 彼が思うものと、もうひとつ別にある。







おわり



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