3:名無しNIPPER[saga]
2018/02/26(月) 13:38:22.93 ID:BGKshudOO
そうなのです。私たちは、ファンの人たちを幸せにするのが仕事です。
「ミズキちゃんに会えて嬉しいな」
そう言ってくれる人たちのおかげで、私たちは頑張れるのです。
長時間立ちっぱなしで、汗やら体臭やら制汗剤やらの匂いが入り混じった空間にいられるのも、ファンのみんなが来てくれるから。
自分用のブースに入ると、既に並んでくれてるお客さんがちらちら見えてきました。
いつも来てくれるあの人だ。あ、久しぶりに見る人もいるな。
「おはようございます」
ファンの人を剥がしてくれるスタッフさんに挨拶をします。ストップウォッチを片手に、彼は目を合わせてくれました。
「おはようござい……」
一瞬、時が止まりました。彼はそう、あの電車の彼だったのです。
気まずそうに視線を微妙に逸らしつつ、最後まで言葉を続けます。
「ます……」
何という偶然でしょう。少女漫画だと、この後恋に落ちたりしそうな展開です。
基本的に、スタッフからタレントへの声かけは禁止されています。それを許すと、ファンがスタッフに応募しまくるからです。
とはいえ、私から感謝の念を伝えるくらいなら許されるでしょう。
「その節は、ありがとうございました」
サービスで、ちょっと微笑んで見せました。アイドルの笑顔は商品なので、これはかなりのご褒美だと言えるでしょう。
彼は照れたように顔を伏せつつも、頭をぺこりと下げてくれました。年相応に可愛らしい態度です。
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