2:名無しNIPPER[saga]
2018/02/26(月) 01:53:13.82 ID:LdsVNk+T0
握手会場には、続々とメンバーが集合してきました。
「おはようございます」
「おはよう」
事務的な挨拶が飛び交う中で、みんなそれぞれ握手に向けて準備を進めます。
メイクを整える子、髪を整える子、各部によって服を着替える子、色んな子がいます。
「ミズキ、何か嬉しそうじゃん」
「分かりますか?」
声をかけてくれたのはグループでも一番人気のサヤちゃんでした。
黒髪ミディアムのサラサラな髪からは清楚なイメージが漂っていて、ファッションも男性が好きそうなマキシ丈のワンピース。
私が男の人だったら、きっとサヤちゃんみたいな人を好きになっていたと思います。
痴漢をされたこと自体は不快でたまらなかったのですが、彼は救ってくれた彼は良い人でした。
救い方も、非常にスマートだったと思います。私のことを思ってくれたのかはわかりませんが、あそこで私が拘束されてしまうと握手会には間に合いませんでしたから。
一方で、彼は大丈夫だったのかなという不安もあります。言い逃れされたら、痴漢を証明することができたのかは甚だ疑問です。
「で、何があったの?」
一部始終を話してみました。
「災難だったわね。大丈夫?」
「私は大丈夫ですけど、その人が大丈夫かなって心配で」
「優しいのね。でもきっと、大丈夫よ。王子様だったら」
ふふふ、とサヤちゃんは笑いました。
王子様、なんて言い方に私は赤面しながら首を横に振ってみせます。決して、そんなのではありません。
ただ、少し勇敢な、少し良い人だなぁと思っただけです。
その様子を面白そうに見つめてた彼女は、立ち上がって口を開きました。
「さ、そろそろ行きましょ。その彼が出してくれた勇気を、私たちはファンにお返ししなきゃね」
23Res/30.02 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
書[5]
板[3] 1-[1] l20