【ミリマスSS】千早「重なった鼓動と、新しいスタート」
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15: ◆uYNNmHkuwIgM
2018/02/25(日) 00:16:59.43 ID:6Xf+W2fS0

そしてステージが始まった。イントロの後、最上さんが歌い始める。

それを聞いた瞬間、ブルっと身体が震えた。凄い。音声データで聞いた時よりも、鋭さも激しさも増している。彼女がどれだけこのステージに想いを込めたか、ダイレクトに伝わる。

そして私のパートが訪れる。最上さんの刺すような歌声を受け止めるように、そして跳ね返すように私も神経を研ぎ澄ます。強く強く、私の音を響かせる。


一呼吸置いて、私と最上さんの声が重なるパート。ガツンと強い衝撃に身体が貫かれたような感覚を覚えた。

『絶対に、負けない』

ぶつかり合った歌声を通して、最上さんの思い伝わってきた。心臓をさらけ出して、その鼓動を直に突きつけられている感覚。


彼女のその鼓動を聞いて、強烈に私の奥底から沸々と熱が湧き上がる。彼女の熱に呼応して、私の奥で固まっていたマグマが噴き出したような感覚。

『私も、絶対に、負けたくない』

きっとこの言葉は今までも、オーデイションやフェスのたび繰り返し発していたように思う。

でも、今になって気がついた。かつての私は本心ではそんなことを微塵とも思っていなかった。だって、その時の気持ちと今の気持ちは全く違うから。

私は独りで歌っていた。自分の理想の歌を歌うことばかりに執着して、高すぎる空ばかりを見上げていた。

だから知らなかった。そして最上さんとのこの曲を通じて、初めて知った。

誰かの熱が私をこんなにも突き動かすこと。そして、私がこんなにも負けず嫌いだったってことも。

 


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