17:名無しNIPPER[sage saga]
2018/02/20(火) 00:38:04.86 ID:PoruoH2d0
いつの間にか、私は涙を流して走っていた。
「かばん……ちゃん……っ…………どこにいるの……っ」
「かばんちゃんっ…………はあっ……はあっ……」
見た目はヒトの姿とはいえ、特徴はサーバルキャットの頃と変わらない。
長時間走るのは得意ではなかった。
「っ…………かばん……ちゃんっ……!」
「はあっ…………」
やがて体力は底をつき、私はその場でうずくまった。
「かばんちゃ……げほっ……げほっ……!」
「げほっ、げふっ、げっ…………かば、んちゃ、げほっ……!」
持ち前の大きな声さえ枯れ果てて、もう上手く出せなくなっていた。
「う、ううっ、ううぅ……」
八方塞がりになった私の目から、涙がぼろぼろと溢れ出る。
私は、かばんちゃんを守れない。
……いや、私には到底無理なことだったのかもしれない。
「さばんながいど」なんて言って、ジャパリパークについて教えて、何も知らないかばんちゃんを助けてあげようと思っていたのに。
何も知らないのは私の方だ。
かばんちゃんを救う方法も。かばんちゃんがどこにいるのかも。私は何も知らない。何もできない。
悔しい。悔しいよ。
「かばんちゃん…………」
鎖が心に巻きついて、ぎゅうぎゅうと私の心臓を締めつけるようで、涙と嗚咽に濡れた私は、ただ泣くことしかできなかった。
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