【安価】京太郎「派遣執事見習い高校生?」いちご「その45じゃ」【咲-Saki-】
1- 20
269: ◆t2KkLw8Fc7QA[saga]
2019/05/02(木) 16:05:18.07 ID:dop3vfBI0

滝見父「明後日――つまり日曜日の昼、大事な客人が家に参られる。接待というわけではないが、もてなしをしたいのでな……料理を頼みたい」

京太郎「えっ……お、俺の料理ですか?」

滝見父「うむ、その通り。ただ、いわゆる家庭料理でなく、松花堂風の弁当を頼みたいのだが……可能かな?」

京太郎「……お相手の好みや、口にできない食材などをお聞かせくだされば、献立は作れると思います。ただ――」

滝見父「ただ?」

京太郎「――それほど大事なお客様なら、俺ではなく、プロの料理人をお招きするほうが確実ではないでしょうか?」

滝見父「うむ、確かに……我々が懇意にしている、料亭や旅館に頼むのが筋ではある」

京太郎「では――」

滝見父「だが、今回はあくまで内々の席でな……あまり多くの者、部外の者に知らせるわけにはいかんのだ」

京太郎「……わかりました。そういうことであれば、料理長を務めさせていただきます」

滝見父「おお、ありがたい! それでは、よろしく頼む。食材の好みなどについては、メモを用意しておこう」

京太郎「ありがとうございます。ただ――」

京太郎「用意が難しそうな食材があれば、調達をお願いするかもしれませんので……その旨だけ、ご承知くださいますか?」

滝見父「うむ、心得た。しかしまぁ、なんだ……もてなしとは言ったが、気楽に臨んでくれて構わんのだぞ? 私的な客人であるわけだからな」

京太郎「それでも、大事なお客様と仰ったからには、心よりのもてなしをして然るべきです。そう教えられてきましたし、俺もそう思いますから」

滝見父「……ふむ、なるほど……いや、ならば重ねては言うまい。その気持ちはきっと、料理から客人らにも伝わるだろう」

京太郎「そう言っていただけると励みになります。それで――客人『ら』ということは、複数名いらっしゃるんですか?」

滝見父「ああ、私を含めて7――いや、6人分だな。そうか、となると一人での準備は難しいか……」

京太郎「……いえ。料理のほうは、俺一人で用意するべきかと思いますので、そうさせていただきます。給仕のため、2名ほど人をお願いできましたら」

滝見父「……む?」

京太郎「あ、いえ……料理の提供が遅くなるとか、そういったことは決してありませんので……」

滝見父「はは、そういうことではないのだがな……うむ、やはり聞いておこう。なぜ、自分一人でやるべきと思ったのかね?」

京太郎「それは――小父さんが、俺に頼まれたからですよ。部外の者に話せないなら、俺にこそ話すべきじゃありません」

京太郎「腕が確かで口も堅く、信頼の置ける料理人を付近で探すほうが、滝見家にとっては容易なはずです」

京太郎「にも拘らず、俺にお話をくださったということは、俺に料理を作らせる必要があるってことでしょう」

京太郎「その理由はわかりませんけど……誰かの手を借りず、俺だけの手で作ることが、そのご依頼に応える誠意かと思いました」

滝見父「――――ふっ……ふははははははっ!」

京太郎「えっ」ビクッ

滝見父「いやぁ、慧眼よ! そこまで言い当てられるとは、いやはや、恐れ入った!」

京太郎「い、いえ、そんなことは……お相手のことも、理由も、何一つわかっていませんし……」

滝見父「そこまで見通されては、京太郎くんがエスパーであると疑わざるを得なくなるなぁ」

京太郎「すみません。でも、詮索するつもりなんかは、本当にありませんので……」

滝見父「うむ、そうしてもらえるとありがたい。が――そうだな、もしかするとその辺りは、その席で明らかになるかもしれんぞ」

京太郎「はぁ……えっと、それは俺が知っておくべきことでしょうか?」

滝見父「どうだろうな……知らぬほうがよいこと、かもしれん。だが、知って損はないはずだ。先方も、その機会が欲しいのかもしれん」

京太郎「…………そうですか」

滝見父「ふむ、依頼したばかりで脅かしてしまったかな……支度に影響がなければよいのだが」

京太郎「はは、大丈夫ですよ。そういうの気にして料理ができるほど、俺は器用じゃありませんので。そのときは、料理に集中するだけです」

滝見父「ははは、それは頼もしい。では、よろしく頼む」

京太郎「はい、お任せください」




<<前のレス[*]次のレス[#]>>
411Res/345.22 KB
↑[8] 前[4] 次[6] 書[5] 板[3] 1-[1] l20




VIPサービス増築中!
携帯うpろだ|隙間うpろだ
Powered By VIPservice