【安価】京太郎「派遣執事見習い高校生?」いちご「その45じゃ」【咲-Saki-】
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◆t2KkLw8Fc7QA
[saga]
2019/05/02(木) 16:05:18.07 ID:dop3vfBI0
滝見父「明後日――つまり日曜日の昼、大事な客人が家に参られる。接待というわけではないが、もてなしをしたいのでな……料理を頼みたい」
京太郎「えっ……お、俺の料理ですか?」
滝見父「うむ、その通り。ただ、いわゆる家庭料理でなく、松花堂風の弁当を頼みたいのだが……可能かな?」
京太郎「……お相手の好みや、口にできない食材などをお聞かせくだされば、献立は作れると思います。ただ――」
滝見父「ただ?」
京太郎「――それほど大事なお客様なら、俺ではなく、プロの料理人をお招きするほうが確実ではないでしょうか?」
滝見父「うむ、確かに……我々が懇意にしている、料亭や旅館に頼むのが筋ではある」
京太郎「では――」
滝見父「だが、今回はあくまで内々の席でな……あまり多くの者、部外の者に知らせるわけにはいかんのだ」
京太郎「……わかりました。そういうことであれば、料理長を務めさせていただきます」
滝見父「おお、ありがたい! それでは、よろしく頼む。食材の好みなどについては、メモを用意しておこう」
京太郎「ありがとうございます。ただ――」
京太郎「用意が難しそうな食材があれば、調達をお願いするかもしれませんので……その旨だけ、ご承知くださいますか?」
滝見父「うむ、心得た。しかしまぁ、なんだ……もてなしとは言ったが、気楽に臨んでくれて構わんのだぞ? 私的な客人であるわけだからな」
京太郎「それでも、大事なお客様と仰ったからには、心よりのもてなしをして然るべきです。そう教えられてきましたし、俺もそう思いますから」
滝見父「……ふむ、なるほど……いや、ならば重ねては言うまい。その気持ちはきっと、料理から客人らにも伝わるだろう」
京太郎「そう言っていただけると励みになります。それで――客人『ら』ということは、複数名いらっしゃるんですか?」
滝見父「ああ、私を含めて7――いや、6人分だな。そうか、となると一人での準備は難しいか……」
京太郎「……いえ。料理のほうは、俺一人で用意するべきかと思いますので、そうさせていただきます。給仕のため、2名ほど人をお願いできましたら」
滝見父「……む?」
京太郎「あ、いえ……料理の提供が遅くなるとか、そういったことは決してありませんので……」
滝見父「はは、そういうことではないのだがな……うむ、やはり聞いておこう。なぜ、自分一人でやるべきと思ったのかね?」
京太郎「それは――小父さんが、俺に頼まれたからですよ。部外の者に話せないなら、俺にこそ話すべきじゃありません」
京太郎「腕が確かで口も堅く、信頼の置ける料理人を付近で探すほうが、滝見家にとっては容易なはずです」
京太郎「にも拘らず、俺にお話をくださったということは、俺に料理を作らせる必要があるってことでしょう」
京太郎「その理由はわかりませんけど……誰かの手を借りず、俺だけの手で作ることが、そのご依頼に応える誠意かと思いました」
滝見父「――――ふっ……ふははははははっ!」
京太郎「えっ」ビクッ
滝見父「いやぁ、慧眼よ! そこまで言い当てられるとは、いやはや、恐れ入った!」
京太郎「い、いえ、そんなことは……お相手のことも、理由も、何一つわかっていませんし……」
滝見父「そこまで見通されては、京太郎くんがエスパーであると疑わざるを得なくなるなぁ」
京太郎「すみません。でも、詮索するつもりなんかは、本当にありませんので……」
滝見父「うむ、そうしてもらえるとありがたい。が――そうだな、もしかするとその辺りは、その席で明らかになるかもしれんぞ」
京太郎「はぁ……えっと、それは俺が知っておくべきことでしょうか?」
滝見父「どうだろうな……知らぬほうがよいこと、かもしれん。だが、知って損はないはずだ。先方も、その機会が欲しいのかもしれん」
京太郎「…………そうですか」
滝見父「ふむ、依頼したばかりで脅かしてしまったかな……支度に影響がなければよいのだが」
京太郎「はは、大丈夫ですよ。そういうの気にして料理ができるほど、俺は器用じゃありませんので。そのときは、料理に集中するだけです」
滝見父「ははは、それは頼もしい。では、よろしく頼む」
京太郎「はい、お任せください」
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