【安価】京太郎「派遣執事見習い高校生?」いちご「その45じゃ」【咲-Saki-】
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257: ◆t2KkLw8Fc7QA[saga]
2019/03/03(日) 19:02:45.34 ID:C92gNRTN0

〜二年目9月三週月曜

〜早朝

京太郎「――ん……お……?」

 自然な目覚めのようにパチリと目が開き、身体を起こそうとするが、妙に関節が硬かった。

京太郎「ここは――そ、そうだ、確かっ……つぅっ……」

 固まった関節をギシリと軋ませ、布団から起き上がろうとする。
 それを押し止めるのは、目の前に伸びた白い手。

霞「無理しないで。そのまま寝ていてちょうだい。必要なものがあれば、私たちが用意するから」

京太郎「霞、さん……それじゃ、ここは……」

霞「ええ、霧島――滝見家よ。どうやら、帰ってきたことも記憶に残ってないようね」

京太郎「いえ、それは、なんとか……一瞬、夢だったんじゃないかと思っただけで……」

霞「それを覚えてないって言うのよ」

 クスクスと笑う霞だが、その顔には色濃い憔悴が滲んでいた。

京太郎「寝てないんですか……?」

霞「ええ、一番年上だもの。だけど、おかげで得しちゃったわね」

京太郎「はぁ……そうなんですか?」

霞「……目が覚めた京太郎くんと、一番に会話できたじゃない」

京太郎「あ、と……お、おはようございます……で、いいんですかね? 時間……」

霞「ええ、おはよう……いまは、四時半かしら」

京太郎「ちょっと早めですね……あっっ……つぅっ!?」

霞「ちょっ……だ、だめよ、急いで起き上がろうとしちゃ! なにかいるなら、私に言ってちょうだい……」

京太郎「じゃなくて――春っ……春は、無事ですかっ……それに、あいつは――」

霞「……春ちゃんなら、ついさっきまで目に隈こさえて看病していたわよ。仮眠を取るように言いつけて、さっきようやく寝てくれたの」

京太郎「そ、そう、ですか……よかった、春っ……あいつにもしものことがあったら、俺はっ……」

霞「………………もう一つの心配事のほうだけれど」

京太郎「あ、はい! その、それは……うまくいった、ん……ですよね?」

霞「ええ。春ちゃんが相手の正体をきちんと教えてくれたから……封じの石碑も戻されて、周辺区域も立ち入り禁止になっているはずよ」

京太郎「………………ありがとうございました。それと――」

霞「もし謝ろうとしているなら、その必要はないわ。というより……お礼を言いたいのも謝るのも、むしろこちらのほうね」

京太郎「いや、俺はなにも……」

霞「春ちゃんを連れて帰ってきてくれた。おかげで情報が伝わった……迅速に術士が動けて、被害が出る前に事態を収拾させられたわ」

霞「あなたのおかげよ、全部……本当に、ありがとう――ありがとうございました、須賀様」

京太郎「……その呼び名は、あんまり好きじゃないです」

霞「色んな人に言われるだろうから、慣れておいたほうがいいわよ?」

京太郎「ほかの人はいいですけど……永水のみんなに呼ばれると、寂しくて泣きますね」

霞「そう……なら、京太郎くん……ありがとう。春ちゃんと、霧島を守ってくれて……ね」

京太郎「いえ。なんていうか……俺も、この町が好きですから……できることをやって、その結果で守れたなら……やったかいがありました」

霞「……霧島は、あなたを遠ざけた場所なのに?」

京太郎「はは……そっちは覚えてないことですから。俺にとっては、いま生活しているこの霧島が、俺の好きな霧島です」

霞「っ……ありがとう、京太郎くんっ……」ギュッ

京太郎「………………」



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