15: ◆DAC.3Z2hLk[saga]
2018/02/16(金) 00:57:34.65 ID:oMgPCNNI0
「それで、どっちに行けばいい?」
「え……と、こっちです。多分……」
「そういえばちゃんと聞いてなかったな。発生源がわかるかもってのは、どうして?」
智絵里は細い指で俺のスーツの袖をきゅっとつまみながら、ぽつぽつ語る。
「声が……聞こえるんです」
「声? 兎の?」
「はい。あの子達には、『親』がいるって……兎を生み出した、誰かが……。
だから、親の話題を出してるうさぎさんを追えば、きっと居場所がわかるかなって」
智絵里のツインテは風も無いのにゆらゆら揺れ、時折ぴくぴく何かに反応していた。
どうもそれが人間モード時のうさみみ代わりらしい。かわいいんだかヘンテコなんだか。
「じゃあ、その親とやらが今もどんどん兎を生み続けてるのかな?」
「それは……違うと思います。いくらなんでも、こんなペースでなんて……ちょっと、おかしいです」
と。
俺達は、目の前で二匹の兎が見つめ合っていることに気付いた。
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