12:名無しNIPPER[sage]
2018/02/14(水) 23:36:41.50 ID:ZHvlmj8j0
翌日、ボクはいつものように屋上にいた。
フェンスから外を見ると、いつもの見慣れたコンクリートジャングルに、綺麗な夕日が映っている。何度か見たことのある景色だ。ただ、いつもと違うのは、右手に小さな箱を持っていることだった。
焦げ茶色をした包装用紙に、赤と黄色のリボンが結ばれている。交差部分の結び目には、羽根のアクセサリーが付いていた。
結局お菓子会社の策略に、ちひろさんの策略に踊らされてしまったが、意外と楽しいものだということに気付けた。その点は感謝して良いかもしれないな……。
そろそろ来る頃合いだろう。目を閉じて、息を大きく吸い、ゆっくり吐き出す。小さく呟きながら、リハーサルを行う。受け取って貰えるだろうか、喜んでくれるだろうか。一抹の不安がよぎるが、すぐに思考を破棄する。
まだ何も言ってないのに不安になってどうする。その時のことは、その時に考えれば良い。今は渡すことだけを考えるんだ。
脳内で何度も言葉を繰り返す。しっかりキミに伝わるよう、丁寧に、感情を込めながら。
そして、後ろからプロデューサーが来たことを伝える音がした。一瞬、体がこわばって言葉が消えそうになるが、小さく深呼吸をし、消えかかっていた言葉を脳内へ繋ぎ止める。
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