2:名無しNIPPER[saga]
2018/02/10(土) 12:38:55.76 ID:p6iGZwjEO
オフィスはとうに無人だった。
事務員などは定時で帰るし、定時を過ぎればあとは個々人の裁量で退社できる。
仮にやるべきことが残っていても、その大半は会社に残らないといけない業務ではない。
だから午後九時までわざわざ残業していく社員などは、俺の他に誰もいなかった。
パソコンの電源を落としてから、フロアの電気を順に消していく。非常灯だけが照らす足元は少し頼りなかった。
先ほどまで暖房を効かせた部屋にいたためか、廊下に出ると冷えた外気が肌に刺すようだった。
身体を震わせながら駐車場へと向かう。キーを片手に自分の車の前まで歩くと、もこもこの防寒具に身を包んだ妖精がそこに座り込んでいた。
薄い金色の長い髪。巻き込むようにマフラーを首に巻いている。耳当ては彼女には大きすぎるようで、耳からはみ出して頬までも覆っていた。
光沢のあるジャケットを着込んだ少女は、紛れもなく双葉杏であった。
18Res/10.54 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
書[5]
板[3] 1-[1] l20