101:名無しNIPPER[saga]
2018/02/12(月) 22:37:47.72 ID:pfprEqcP0
〜ギルド・海辺の町〜
吟遊詩人「先代の勇者様が町で暴れていたゴーレムと堕天使を討伐してから、この冒険者ギルドは誕生したんだ」
吟遊詩人「勇者様がいつでも現れてくれるとは限らない。自分の身は自分で守らなきゃならない。最初はもっと厳格な軍隊染みた組織だったのさ」
吟遊詩人「それが何十年も経つにつれ、徐々に商業化していった。非力な町民から金を取り、代わりに依頼をこなす。はは、何でも屋かっつの」
吟遊詩人「まぁ、町を囲む城壁には巨大な弩や砲台が据えてあるし? 手練れの冒険者も多い。魔物の脅威なんてのは、もはやゼロに等しいんだ」
吟遊詩人「ブックブクに肥えた商人共が目をつけるのも、無理もねぇよな。この平和なご時世、もっとも儲かる職業なんだから」
吟遊詩人「ギルドと契約を結んだ卑しい商人共は、報酬金の半分を持っていっちまいやがる。金貨1000枚もらうところが、200枚に減らされたりとかザラだ」
吟遊詩人「あんたら、冒険者だろ? 一目見ただけで分かったぜ。老婆心で忠告しとくけどよ、今のギルドは設立当初のギルドとは全然違う」
吟遊詩人「魔物討伐の依頼なんてほとんどない。逃げた家猫を捕まえろだとか、糞紙が切れたから届けてくれとか、ふざけた依頼ばかりだ」
吟遊詩人「報酬金の高い依頼はほとんど、金持ちが雇ったエセ冒険者が独占してる。余所者が食い込める隙間はまったくねぇ」
吟遊詩人「強くなりたい? だったら回れ右して町を出て行きな。そんで雪山でゴーレムマラソンでもするんだな。そっちのがよっぽど効率的だ」
吟遊詩人「海辺の町は堕落した。観光都市という名誉の上に胡坐を書いて、メシばっか食い続けた結果がこれだ」
吟遊詩人「以上、先達からのギルド講義でした。どうだ? ギルドで金を稼ぐことの無意味さが分かったか?」
勇者「はぁ……」
ハーピー「ここまで熱弁を振るわれたら、ちょっと考え直しちゃうよな」
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