78:名無しNIPPER[saga]
2018/04/06(金) 18:23:30.50 ID:LZXIfz580
「私からも、もういっこ質問」
気を取り直すようにして声を掛けた。
彼はまだ何か言われると思ったのか、いくらか身構えたように映る。
「好きな花を教えてほしいの」
「……花?」
「うん。なかったらないでもいいんだけど、もしあるなら」
「花」と彼は繰り返した。いくら何でも胡乱すぎたかもしれない。
「えっと、ちなみに東雲さんは?」
「私はスミレとかミモザみたいな、派手すぎなくて綺麗な花が好き……かな?」
「なぜ疑問形」
「だって……好きなものを人に言うのって結構勇気のいることじゃない?」
「まあ、たしかに」
「それに、好きだったものを嫌いになったとしても、言葉にしてなければ罪悪感もないかなって」
「嫌いになるのが怖いの?」
「ううん」と私は首を振った。
「そっか」と彼は頷いた。
じゃあどうして? と訊かれなかったのは幸いだった。それこそうまく言語化できそうにない。
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