52:名無しNIPPER[saga]
2018/02/25(日) 03:00:40.39 ID:XJms5aKo0
【解放】
二十分ほどして家の外に出てきた奈雨は、落ち着いたような、肩の荷が下りたような表情をしていた。
「仲直りできたか?」
俺の質問に、奈雨は親指を立ててにこりと笑った。
実は結構心配だったけれど、どうやら上手くいったらしい。
「どんな話をしたの?」
「話しちゃだめって言われたからだめ」
「そっか」
「でも、これからは仲良くしようねって、そんなのだよ」
「嬉しい?」
「んー、どうだろ。嬉しいといえば嬉しいけど、これから次第って感じ」
「ま、それもそうか」
「あとは、あれだ。昔みたいに『お姉ちゃん』って呼んでほしいって言われたよ」
「……おー、そっか」
「あ、話せるのはこれだけ。……まだ、作業するの?」
「おう」
「帰ってくる?」
「キリがいいとこまでいったらな」
「じゃあ、またお兄ちゃんの部屋お邪魔するからね」
おやすみなさい、と奈雨は手を振ってまた玄関へと入っていく。
その姿を見て、俺も少しだけ胸のつかえが取れたように思えた。
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