36:名無しNIPPER[saga]
2018/02/25(日) 02:43:39.12 ID:XJms5aKo0
【答え】
部室を出て廊下を歩きながら、小さくため息をついた。
ひとけのないひんやりとした空気が、今の自分には妙に心地がいい。
ここ数日いろいろ考えて、最後に下した結論は『考えても仕方がない』だった。
俺がどう思索したところで、その真偽は佑希本人に訊いてみない限り分かりっこない。
話をしなければ、踏み込む覚悟を決めなければ、進むも退くも何も決まらない。
ただ、ある程度の推測、ないし目星はつけていた。
これまでの俺は、彼女のことを自分にとって都合の良いフィルター越しに見ていて、それ以外の選択肢に目を向けようとしてこなかった。
母さんのことはあくまでも要素でしかなく、間違った選択をし続けてきたのは俺自身だというのを、頑なに認めてこなかった。
そして、だからこそ見落としていた。
思い返してみると、彼女の言動は違和感だらけだった。矛盾だらけだった。
最初から間違えていたのだと、それだけは確信できてしまう。
そこまで頭に浮かべて、もう一度息を吐き思考をリセットさせる。これ以上は考えるだけ毒にしかならない。前提から覆さなければいけないのに、これまでのやり方で考えていたって無駄なことだ。
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