169:名無しNIPPER[saga]
2018/06/29(金) 01:18:55.38 ID:CaJ2VfCb0
【文化祭 1ー1】
文化祭は想像以上の賑わいを見せていた。
生徒が盛り上がるのはもちろんのこと、お客さんもみんなテンションが高い。
教室の入口付近に設置している受付の椅子に座って人を捌きながら、広い廊下を先の方まで見渡してみる。
制服姿の中学生、他校の高校生、子供連れの家族、とりあえずいろいろな人がいる。
他のところと若干時期をずらしているのはこのためだろう。こんなに人が来るなんて思いもしなかった。
俺に課せられた仕事は簡単で、パンフレットにスタンプを押し、気持ち程度のお金を受け取り入口に向かって「どうぞ」だのと言うだけ。
アトラクションでお金って取るのか……と少し考えたが、うちのクラスはお代はお客さん自身に決めてもらうという形をとっていた。
となると無料でもいいのだが、まあ、律儀に五十円から百円くらいはみんな払ってくれている。中には千円札を入れてきた人もいた。
全部でどのくらい入っているだろうかと箱の中身を見ようとしたところで、ビラ配りへと駆り出されていたソラが戻ってきた。
「どうよ、お客さん入ってるか」
「まあぼちぼち」
「そっか。あ、店番代わろうか?」
「なんで?」
「……ん、あの子とは?」
「奈雨は今ステージにいるはず」
腕時計を確認する──十時過ぎ。
午前の部が始まる時刻はもうすぐだろうか。
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