44: ◆TOYOUsnVr.[saga]
2018/02/08(木) 02:16:49.31 ID:1k4n5Mtx0
○
「デビューって言っても、とあるアイドルの前座なんだけど」
「なんだ」
「お客さんは3000人くらいかな」
「え」
「使える時間は一曲分とちょっと。コネをフル活用して無理に無理を重ねて北条さんをねじ込ませてもらいました」
「……初ステージがそんな大舞台、って」
「できればさっき渡した曲、やりたいんだけど……北条さん、できる?」
話の展開があまりにも猛スピードで進むから、理解が追い付かない。
順番に整理しよう。
まず、アタシは自分だけの曲をもらった。
これはすごくすごく嬉しい。
次に初仕事が決まった。
これもすごくすごく嬉しい。
問題はそれが無茶苦茶なオーダーだということ。
でも、自分の状況を振り返ってみれば、端から失うものはあまりないことにも気が付く。
――だったら。
「うん。やる」
「じゃあ決まりだ。アイドル北条加蓮の快進撃、ここから始めよう」
アタシは向かうべき明確な目先の目標地点を手に入れた。
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