ある旅人の日記
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15:羽根ペン ◆u/aQt5mEvU[sage]
2018/02/10(土) 01:34:34.49 ID:UUqXzVAf0
 アーレ歴248年植の月1日 天候 晴れ

 かなりきれいに今日は晴れていたのでかなり快調に歩みを進め、昼過ぎには故郷に帰ることが出来た。今は実家でこれを書いている。両親は未だに腰もしっかりしていて、突然の帰還に驚いていたが、種蒔きの直前だったので何とか何事もなく歓迎された。種蒔きの日に来ていたとしたら、白い目で見られるのは当然の話である。

 両親は健勝であり、次の10年も大丈夫でありそうだった。旅でいつ帰ってこられるかわからない事、もしかしたら最期に会うのが今日かもしれないという話もしたら、すこし悲しげな顔をされたが、何とか理解してもらった。まあ、理解されなくとも旅立つのだが。

 振り返ると、私は両親に何もしていない。内職を手伝う年齢になれば私は村の猟師に森の歩き方を教わり、畑仕事を手伝う年齢には村の衛兵に剣の手ほどきを受けていた。要するに両親の手伝いを一切していなかったことになる。そのことを謝る、と言うことではないが少し恥じ入り両親に伝えたら「お前には才能があった。だから自由にさせた」と言葉をもらった。両親に対する感謝は言葉にしきれないほど余りある。

 エリの両親にも挨拶に行った。ご両親は「結婚の報告にでも来たと思った」と言っていたが滅相もなかった。まあ、それは置いておいて、エリの両親兄弟は実に元気だった。元気すぎるくらい元気であった。一番下の10になる弟は私にあこがれて騎士になりたいと言っているらしく、剣の勉強もしているとのこと。すこしその筋を見たが正直、才能見込み共になかった。まあ、直接は言わないが。

 エリの両親にも旅の話をしたが、まあ、彼らは私とは関係がない。一応「エリは残していく」と言った時「連れて行ってもいい」とは返され「元よりその気はない」と言ったら件の弟君に脛を蹴られた。理不尽である。

 そして、村の友人達以下全員にも帰還は祝福された。昔私に懸想していたという奴もいたが、そいつはすでに結婚して子供も作っていた。時の流れは恋心も明らかにするらしい。村で飲む久しぶりの蜂蜜酒は実においしかった。

 また、私に剣を教えてくれた衛兵は亡くなっていた。死因は聞かなかった。今は後進の若い衛兵が就いている。猟師は子供に代を譲ったとのことだった。

 明日は村の礼拝堂に行き、その後祀神様にもご挨拶に行こうと思う。



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