【クッキー☆】『猫になったBNKRG』
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53:名無しNIPPER[saga]
2018/02/06(火) 02:09:29.83 ID:kLIsZwOI0
「保健所では貰い手が見つからない犬猫は処分されるのは知ってるよね?PSR。」
「処分の方法はガス室に入れての処刑だってこの前テレビで見たんだけどさ、ガス室では値が張る一酸化炭素を使わず二酸化炭素を使ってるんだって。知ってた?」
「へぇー。燃えた時に出るあの?でも安楽死なら一酸化炭素の方がいいと思うんだけど…」
「自然界にCO2なら普通に存在するし、それに一酸化炭素だと割と簡単に人間でも死人出て危険だと思うんだけどね」
「そうそう、二酸化炭素は酸素とかより重くて、下にいると苦しくなるでしょ?だから猫たちは必死に弱った奴らを蹴落として上に行こうとしてるんだって」
以下略 AAS



54:名無しNIPPER[saga]
2018/02/06(火) 02:10:32.44 ID:kLIsZwOI0
死の受容の段階は5つに分かれており、そのプロセスで不治の病の患者たちはいくつかの段階を経て最終的には受容へと至る。
聡明なPSRからそう聞かされた時にはなんのこっちゃと右から左へ受け流してそのまま忘れていたが、今更になって思い出しBNKRGは納得した。
愛護センターに着いて何日が経っただろうか。今更暴れてもどうにもならないだろうとBNKRGは暴れるのをやめた。
どうせ貰い手は来ず、死ぬのだ。ならばこのまま暴れても仕方ない。
ただ自分の最後を看取ってもらえない寂しさで、死を想ってBNKRGは目を閉じた。
以下略 AAS



55:名無しNIPPER[saga]
2018/02/06(火) 02:11:25.99 ID:kLIsZwOI0
それでもいいと思った。
今まで好き勝手猫を殺して食べてきたのだ。当然の報いだ。
虫のいいようだが生きたいと思った。罪を償いたいと思った。
でもそれも過ぎた願いだ。
BNKRGはこの薄暗い檻で死んでいくのだ。
以下略 AAS



56:名無しNIPPER[saga]
2018/02/06(火) 02:12:48.19 ID:kLIsZwOI0





以下略 AAS



57:名無しNIPPER[saga]
2018/02/06(火) 02:13:28.92 ID:kLIsZwOI0
また夜が来た。
いつもと違う夜だ。扉が開く音がした。部屋に光が灯る。こんな時間に誰だろうか。瞼の裏が明るくなった。
きっと保健所の人だ、そうに違いない。それにしても何をするんだろう。何かの検査だろうか。

「ええやん、ここの猫らから選んでええの?いや犬は…」
以下略 AAS



58:名無しNIPPER[saga]
2018/02/06(火) 02:13:54.75 ID:kLIsZwOI0
どこだろうか、どこかで聞いたことがあるような声だ。思い出せない。
どうでもいい。思い出せても思い出せなくても。BNKRGは静かに寝たいのだ。
瞼に影が落ちる。

「近所のクソ生意気なガキにそっくりや」
以下略 AAS



59:名無しNIPPER[saga]
2018/02/06(火) 02:14:22.86 ID:kLIsZwOI0
いきなり体が宙に浮かんだ。いや持ち上げられた。
驚いて目を開ける。嘘!?眩しい…持ち上げる手が温かい。

「この子にするわ」

以下略 AAS



60:名無しNIPPER[saga]
2018/02/06(火) 02:14:53.56 ID:kLIsZwOI0
猫用のキャリー・カートに詰め込まれた。どうしてだろう、何も考えられずただただ困惑している。
思い当ることは一つ。ゴミ屋敷に連れ込まれて殺されてしまうのかもしれない。キビャックの材料として海獣の腹に詰め込まれるかもしれない。皮を剥がれて三味線にされるかもしれない。
キャリー・カートが開いた途端逃げるが勝ちだ。まともに戦って勝てるわけがない。どんなに相手が非力であっても家というホームグラウンドに連れ込まれるのだ。負ける可能性が高い。
BNKRGは口元を固く閉じ、身を引き締める。瞳孔を操作し、光に慣れるよう努力もした。
体中が浮く感覚がして、酷くカートの中が揺れた。カートごとどこかに下ろされたようだ。恐らく車で運搬し、家に着いた後カートをどこかに下ろしたのだろう。
以下略 AAS



61:名無しNIPPER[saga]
2018/02/06(火) 02:15:20.76 ID:kLIsZwOI0
しばらく経ってもカートは開かず、BNKRGは焦り始めた。どうしたのだろうか、逃げないように外で網を用意しているのだろうか。
機械的な音とチーンという音が聞こえた後、唐突にカートが開いた。
一瞬呆けたがそのまま勢いで出た。
しかし出たすぐのところで足がすくんだ。いや、足が止まったと言って差し支えない。



62:名無しNIPPER[saga]
2018/02/06(火) 02:15:56.22 ID:kLIsZwOI0
籠に入れられて連れられた先はTISの家の食卓だった。カートはバカでかい机の端に置かれていたのだ。
煌びやかに広がる料理群には豪華絢爛の文字がふさわしい。
立ち上る湯気と香気に思わずBNKRGは立ちくらみを起こした。
そういえば動物愛護センターでの食事後、何も食べていない。ALISONの家からの脱走した後愛護センターで食事はしたものの、それ以来BNKRGは満腹まで食事した記憶がない。
よだれが自然と出てきた。顔を振ったが目の前の誘惑には勝てなかった。
以下略 AAS



63:名無しNIPPER[saga]
2018/02/06(火) 02:16:24.66 ID:kLIsZwOI0
ご飯を食べた後、強引に風呂に入れられた。
愛護センターで体が汚れていたためか、かなりお湯は汚れた。まさに生き返った気分だ。
体中に水滴がついてムズムズしたため、BNKRGは体を震わせた。水しぶきが飛んでTISがむせた。
しまった、と思ったが後の祭りだ。申し訳なく体を縮めているとTISはむせるのをやめ、丁寧に体を拭いてくれた。
そうか、猫が体を震わせて水気を飛ばすのはこういう事か。
以下略 AAS



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