モバP「アイドルにサスペンスドラマの犯人役のオファーだって!?」
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107: ◆P4gW9oKees
2018/02/25(日) 22:00:38.31 ID:jwLgawr10
「くっ……」

しかし、それにも障害があった。
両腕を後ろで拘束されているため、思うように動けない。
しかも何度か腕を動かしてわかったのは、腕を縛っているのはロープなどではなく、結束バンドのようなものであることがわかった。
これでは、抜け出すことは困難。私は、どうにかして、結束バンドを切る方法を探した。
こうしてる間にも、アーニャちゃんは胸や身体を触られ続けている。
いつあの男の手が、ドレスの中に伸びるかわからない。
私はその焦りもあり、必死で何か切れそうなものを探した。

すると、私の後ろにある箱の中から、金属の角張った棒が突き出しているのを見つけた。
下手をすれば自分の腕も切ってしまいそうだが、そんなことで迷っているわけにはいかなかった。

私は金属棒を、腕と結束バンドの隙間にねじ込み、どうにか切れるように擦り続けた。

どうやらその金属棒は予想よりも尖っていたらしく、程なくして、プチッと音を立てて結束バンドが切れた。

アーニャちゃんの方を見ると、今まさにあの男の手が、アーニャのドレスの中に入れられようとしていた。

「やめてっ!!!」
私は無我夢中で駆け出し、力の限り男を突き飛ばした。

「アーニャちゃん!大丈夫!?」

私は背後で聞こえた鈍い音にも気付かず、アーニャちゃんに駆け寄り、無事を確認した。

「ミナミ…大丈夫、です」

「良かった…。早く逃げよう?」

「はい。…っ!ミッ、ミナミ…!」

「どうしたの?アーニャちゃん?」

アーニャちゃんは無言で私の後ろを指差していた。

それにつられて、私も後ろを振り向いた。


「!?きゃぁ!!」

私が見たモノ。
それは胸から金属棒を生やして倒れているスタッフさんだった。

恐らくもう死んでいる。
金属の細い棒が、男の左胸のあたりを貫いていた。
さっき、私の腕を拘束していた結束バンドを切った金属棒と似たようなものだった。
彼は、私に突き飛ばされた拍子に転倒し、この棒に背中から倒れ込んだ。
その結果、運悪く棒が心臓を貫いてしまったのだろう。

「そんな……」

私は、しばし呆然としていた後、これからのことを懸念していた。
正当防衛とはいえ、人を殺害してしまったことは事実だ。
世間からのバッシングは免れないだろう。
私はともかく、巻き込んでしまったアーニャちゃんにまで、そんな目に合わせるわけにはいかない。


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