24: ◆tues0FtkhQ[saga]
2018/01/28(日) 13:15:54.08 ID:z2Y7iDdr0
がらがらの持ち手をそっと摘んで、ぐるりと回していきます。
もう迷ったり、願ったりすることはありません。
私の心の中には、いつもの運の良さとはまた違った確信めいたものがあって。
きっと、ひとりでは手に入らなかったもの。ふたりだけにもらえる神様のきまぐれ。
たった数秒の時間が長く、長く感じられます。
ゆっくりとざわめく視界の中、がらがらの小さな穴がお日様を受けてきらりと光って、ぽとりとその輝きを落としていきました。
すぐにカランカランカラーンと大きな鐘の音が耳元で鳴り響いて。
「大当たりー!!!」
おじさんの大きな声と共に、私は現実に引き戻されます。
目の前の玉の色と、横のパネルを見比べて、私はやっと自分が何を貰ったのか理解しました。
「わぁっ! 特賞が当たりましたっ! ハワイ旅行ペアご招待券ですよっ!」
「やっぱり……おめでとうございます」
プロデューサーは分かっていましたと言いたげな顔で、それでも笑って、祝福してくれます。
周りの人達もざわざわとしたと思うと、拍手と共におめでとうって言ってくれて。
こんな状況に慣れていても少し気恥ずかしい気持ちです。
それでも神様のお節介には笑って答えなくちゃいけません。
「ありがとうございますっ♪」
ちょっぴり恥ずかしくても、せめてアイドルらしく。
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