89:名無しNIPPER[sage saga]
2018/02/03(土) 21:30:08.86 ID:RYegwfqRo
「い、嫌にゃ……!」
皆の視線に耐えきれず、拒絶の声を出し、腰を浮かす。
だけど、
「課金」
「ひっ!?」
後ろから肩を捕まれ、強引にまたソファーに座らされる。
気付かない内に、後ろに立たれていた事に戦慄する。
でも、この人だったら普段からこういう事はたまにあるな、とも思った。
「……!……!」
肩で感じる手の感触が、あまりにもいつもと一緒で。
それなのに、皆のみくを見る目がいつもと違いすぎて。
これが現実なのか、そうでないのかの区別すら出来ない。
けれど、みくがしなければならない事は……わかる。
「課金」
いや、課金じゃなくて。
「……!」
湯呑みを震える両手で持ち、口元に運んでいく。
混乱する頭では、お茶を飲み干した後に何を言えばいいか考えられない。
今日は、お仕事だっけ? レッスンだっけ?
少しぬるくなったお茶が、みくの喉をスルスルと通っていく。
「……」
湯呑みから口を離し、その底を見る。
何もない、もう、何も残っていない。
けれど、お茶を飲んで落ち着いたからか、震えは止まっていた。
「にゃあ」
湯呑みをテーブルに置いたのと同時に、みくは鳴き声を上げた。
大丈夫、これでいつも通りにゃ。
おわり
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