33:名無しNIPPER[saga]
2018/01/18(木) 21:30:26.08 ID:3iKMEwHU0
……読んでくれるかな。ぱっと見は奈緒さんからのメールだから、開いてはくれるはずだ。
でも、すぐに削除されるかも。後日、奈緒さんに文句が入るかもしれない。
それでも仕方ないよな、なんて考えていると、掌の携帯が震えた。思わず取り落としそうになって、焦る。
メールが来ていた。開く間もなく、それが繰り返される。
ぶるぶると震え続けて、携帯電話の電池がすぐになくなってしまうんじゃないか、なんて思えてきた。
一通一通開いていく。読んでいく。
途中で何度も目を伏せた。コタツが、思い出が、冷えた体を温めるみたいだった。
メロディが鳴る。メールだけではない。
電話もかかってきた。聞き慣れた歌だ。何度もうたった歌だ。
袖で頬を拭い、部屋の中へ戻る。奈緒さんがびくんっ、と体を震わせた。
でも、起きない。流れるメロディに合わせて、むにゃむにゃとハミングしている。
さんきゅーふぉー、よーこそー。
わたしたーちのー、こたーつ。
思わず笑ってしまう。でも、今の私よりは、うまいかもしれない。
偶にはレッスンでもしようかな、カラオケ番組くらいは出してもらえるかな、なんて考えた。
そうして、私は携帯電話を耳にあてる。
7年振りの声を聞きながら、そっと足をコタツへ滑り込ませた。
おわり
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