32:名無しNIPPER[saga]
2018/01/18(木) 21:29:58.27 ID:3iKMEwHU0
――どれくらい、経っただろうか。
いつの間にかライブの再生は終わっていて、部屋の中はしんと静かになっている。
奈緒さんにメールをみてもらおうか、いや気恥ずかしいしやめとこうか、でも本来であれば奈緒さんにも送るものだしな、なんて考えて顔をあげた。
そして、思わず笑い出してしまう。
「寝てるし」
奈緒さんは天板にことりと頭を置き、爆睡していた。
微かにいびきまで聞こえる。よだれも垂れていた。
とてもアイドルがしてはいけない寝顔だったけれど、そういう思い出はコタツと共にいくつもあった。
私はそっとコタツから這いだす。かけていたコートを取り、奈緒さんの肩にかけた。
もう食べられません、むにゃむにゃとそんな寝言がきこえる。
そっと引き戸まで歩き、ベランダへ出た。
特にガーデニングの趣味とかもないのか、殺風景だ。
物干し竿が2本、冬の空にかかってる。
空気は凍りそうなほど冷えていた。
夜の明かりが、点々とついている。
サイリウムみたいだけど、これがライブだったら全く盛り上がっていなくて、大失敗だ。
顔をあげる。冴え渡った空にも無数の星が瞬いていた。
それもまたサイリウムの光みたいで、これなら大成功だな、なんて思う。
息を吐く。もう文面は確認しない。覚悟を決め、えいっと送信した。
見えない電波に乗って、私のしたためた文章が遠くへ飛んでいく。
今はどこにいるかもわからないみんなに向かって、飛んでいく。
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