97:名無しNIPPER[saga]
2018/03/06(火) 18:59:50.86 ID:5vnjHbcK0
葉山隼人という人間についても、雪ノ下雪乃と同様に、いやそれ以上に俺は深く知らない。二人で話をしたことも数回程度しかないし、そもそも名前すら覚えられたのは最近のことだ。うん、いまだにヒキタニって呼ぶ戸部はやっぱりクソだな。
彼が求めているもの、壊れないようにしているものは分かる。俺が求めてきたものとは、似て非なるものであり、そして俺には守れない、守りたいとも思わない物だ。
彼が雪ノ下雪乃の許嫁だと聞いて、俺は辻褄が合うな、と思った。恐らく、幼い頃から許嫁として周りにはやし立てられ、そして雪ノ下には幼いが故の遠慮の無い悪意が数多く向けられてきたのだろう。そんなことは容易に想像できる。だから彼は、自分が何とかして彼女を救おうとした。それが彼の目指す誰も傷つかない、けど深くは踏み込まないまさに「完璧な世界」なのだ。
もっとも、彼女はそんなもの求めてはいなかった。何を求めていたか?そんなのは俺にも到底わからない。しかし少なくとも雪ノ下雪乃は、そんな馴れ合いや欺瞞の関係で満足し、救われるような人間ではない。結果的に彼が救おうとした彼女は、彼を拒絶したのだ。
そして彼は、彼女に拒絶されてから、誰にも心から打ち解けることはなくなったのだ。
そうなったはずだ。それなのに。
彼女はこうして、一色いろはと付き合っている。
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