84:名無しNIPPER[saga]
2018/03/04(日) 21:45:58.25 ID:UQRBQo4z0
今すぐ会社を自分に明け渡すというのは、あまりにも周りに不自然すぎる。なにより自分が会社を持つことは力量から言っても不可能だ。そう考えた葉山の父は、より会社としての資産価値を上げさせ、会社が大きくなったところで息子である隼人に会社を明け渡すよう迫った。
雪ノ下の父に、抵抗する術はもうなかった。二人の婚約を交わす代わりに、不正を告発せず、今まで通り顧問弁護士と会社としての関係を続ける契約を結んだのだ。
それは、まさに悪魔の契約だった。
こうして、雪ノ下陽乃と葉山隼人は許嫁となった。
当時小学校高学年だった雪ノ下陽乃は、既にその年齢には不釣り合いな程に大人びていた。状況を父から聞かされた時、黙って話を聞いて、そして一番最後に
「ふーん、分かった。」
と、そう一言だけ呟いたのだ。
まるで他人のことを話すかのように。
一方、そんな陽乃よりも幼い葉山には、自分の置かれた状況が理解出来なかった。
葉山「ぼく、あのひととけっこんするの?」
葉山父「そうだよ、ほら、雪乃ちゃんのお姉ちゃんだよ。」
雪乃とは知り合いだったが、陽乃のことは知らなかった幼い葉山は、特に深く考えず、こんな言葉を言った。
葉山「うーん、でも、ぼく、けっこんするなら雪乃ちゃんのほうがいいなあ。」
きっかけは、たったその一言だった。
家を継ぐなら、長女である陽乃と結婚させた方が良い。そう思って陽乃との結婚を進めた葉山の父だったが、せめて息子の希望を少しでも叶えてやろうと思ったのか。そもそも雪ノ下家に男児がいない以上、長女も次女もどちらでも良いのだ。
葉山の父は、結婚相手を陽乃から妹の雪乃へと、強引に変えたのだった。
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