28: ◆5AkoLefT7E[saga]
2018/01/12(金) 23:57:58.11 ID:rvz5aNSu0
「はい、完了です。何か鏡を見て、メイクに違和感などありますか?」
「……」
無言で首を横に振ると、メイクさんは”頑張ってくださいね”と声をかけてくれた。
メイクは凄い。まるで自分じゃないみたいだ。
……って最初は思ったんだけど。
眉間に刻まれたシワが、”あなたは関裕美その人だ”と雄弁に語っている。
どうしよう、どうしよう。
「お、準備完了だな、いいじゃないか」
き、緊張しすぎて、後ろにプロデューサーさんが来たことも気がつかなかった……
「ぷ、ぷろでゅーさー……」
「うわ、露骨」
「だ、だって」
「……うーん」
プロデューサーさんが、何か考えている。
宣材写真の時もだけど、困らせてばかりだ。本当に、ごめんなさい。
「準備お願いしまーす!」
そうこうしていると、スタッフさんが呼びに来てくれた。もう出番みたい。
「じ、じゃあ、行ってくる……」
「あ、裕美。ちょっとだけいいか?」
「へ?」
スタッフさんの呼ぶ声はもちろん、耳に入っていたはずだ。
それでも呼び止めたということは、……なんだろう?
それはちょっとだけ、渋い顔にも見えて。
「裕美は今日ーー」
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