結城友奈「これは勇者たちの物語」
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74:名無しNIPPER[saga]
2018/01/20(土) 22:00:40.79 ID:hm+dGSCso

友奈(長い時間手紙と見つめあって、私はようやく便箋を開き、そのうちの一枚を取り出していた)

友奈(そこには──)

『私は人として母として最悪の人間です。今になって娘の遺品を整理しましたら、机の奥に隠すようにこの手紙が置かれていました。私共に思うことはたくさんあるでしょうが、それでもどうか、あなたに受け取っていただければと思い、送らせていただきました』

友奈(一通目は、あの子のお母さんの書いた手紙)

友奈(当時の私は知らなかったけど……あの子の家庭環境はグチャグチャだったらしい。だから、私は最期の時まで気付いてあげることはできなくて……私はどうしようもなく子供で……)

友奈「……」

友奈(……一枚目の手紙を置き、私は震える手でもう一枚の手紙を便箋から取り出そうとする。上手く掴めない。それでも、何度目かでようやく手の中に収めることができて……ゆっくりと、恐る恐る──私は開いた)

友奈「……っ……」

友奈(そこにはたった一言)

友奈(だからこそ、何よりも伝わる気持ちが、几帳面なのに優しい文字で──)



『本当にごめんなさい、高嶋さん。もし仲直りが出来たら、また二人で一緒に遊びましょう』



友奈「……私こそ……」

友奈「……ぐすっ……」

友奈「……ごめん……っ! ……ごめん、なさい……っ……!」

友奈(とめどなく私の気持ちが頬を伝ってこぼれていく)

友奈(それは遠い過去に置き去りにしてしまった気持ち)

友奈(ずっと心の中で痛みを抱えていた気持ち)

友奈(私を延々縛ってきた鎖が少しずつ音を立てて、崩れていく)

友奈(私が手にしているそれは)

友奈(……喧嘩別れしてしまった友達からの、最後の手紙)

友奈「……ああっ……あ、あぁぁぁぁ……」

友奈(顔をただ手でおおい隠す。嗚咽だけが私の口から洩れている)

友奈(その手紙はあまりにも温もりに溢れていたから……)

友奈(私の涙はいつまでも止まることがなくて──)






友奈(ごめんなさい。そして、ありがとう──郡千景ちゃん)









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