結城友奈「これは勇者たちの物語」
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73:名無しNIPPER[saga]
2018/01/20(土) 21:58:12.77 ID:hm+dGSCso

*エピローグ『高嶋友奈』

千景「いってきます、高嶋さん」

友奈「……うん。いってらっしゃい、ぐんちゃん」

友奈(懐かしく感じるアパートの玄関。私はぐんちゃんを見送っていた。……もしかしたらぐんちゃんよりも私のほうが緊張しているのかもしれない。だって、ぐんちゃんはいつもの歩調で前へと進んで行ったのだから)

友奈(今日は休日。そして、ぐんちゃんがご両親と再び向き合おうと決めていた日)

友奈(色々な事情があって私とぐんちゃんは一緒に住んでいる。その一方で、ぐんちゃんの家の事情は出会った時から何も進展していなかった。……ううん、一緒に住んでいるからこそ進展も後退もしなかったんだ)

友奈「……」

友奈(正直、ぐんちゃんはたくさん悩んだろうし、今だってとっても怖いんだと思う)

友奈(それでも、ぐんちゃんはご両親ともう一度だけ向かい合おうと決心していた。──しかも、誰の手も借りずぐんちゃん一人の力だけで。……とっても偉いよね)

友奈(実を言うと、私も着いて行こうとしたら『偉そうな口をきいてしまったのよ、こんなことくらい一人で成し遂げなければ犬吠埼姉たちに顔向けが出来なくなってしまうわ』と言ってやんわり断られてしまった。……本当にぐんちゃんは立派だよ……)

友奈(……ぐんちゃんの背中が完全に見えなくなったね。家の中に戻らないと……)

友奈(ドアを閉めようとしたところで、郵便受けに荷物が届いているのが見えた)

友奈「あれ? ……便箋? 珍しいな」

友奈(手紙とかを入れる白い便箋を手に取る。ガス料金とかの封書とは全然違うデザインで、それが一層物珍しさを思わせた。裏返して差出人を確認する)

友奈「え……?」

友奈(私は動きを止め、多分、目を見開いていた)

友奈(もう一度見返す。……見間違いじゃない!)

友奈「でも、この住所って!?」

友奈(絶対に届くはずのない住所。差出人も絶対に届くはずのない人で──)

友奈(私は身体を震わせながら、早足でリビングに入って行く)

友奈(扉を閉め、椅子に座り、テーブルの上に便箋を置き、ただその白を見つめる)



友奈(──それは、時間も世界さえも超えて届いた手紙であった)






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