664: ◆7Ub330dMyM[saga]
2018/02/19(月) 00:04:41.71 ID:2O+eU8P+O
姫「なぜでしょうか⁉︎ 勇者であれば王室と婚姻を結んでも身分は問題ないはず! アデルに問い合わせてください!」
王妃「そういう問題ではないのです。ハーケマルとは兄弟国なのですよ。いわば、王子とは許嫁の身。許嫁とは、家同士の契約なのです」
王様「このっ、このっ、バカ娘がっ!」
姫「そんな婚姻に幸せはありませんっ! お父様! お母様! 娘の幸せをお望みではないのですか⁉︎」
王妃「理解してちょうだい。望むだけが幸せではないと。……結婚生活は、いずれ、慣れます」
姫「お母様は、なにも理解しておられません」
王妃「姫。母親に向かってなんたる口を……!」
姫「あの“勇者”なのです! 世界の希望! もし、私と結婚をするとなれば、ゆくゆくは国王! 勇者が国王になるのです! 民たちはこの国こそが一番だと喜び踊るでしょう!」
王妃「そ、それは……」
王様「ハーケマルが孤立するじゃろうが」
姫「そこはお父様の外交手腕の見せ所じゃありません?」
王様「なにも利ばかりが全てではない。信頼とは持ちつ持たれつで成り立っておる。本音を言えば、勇者を迎えたいのは四つ国同じよ」
姫「それじゃぁ、勇者が魔王を倒したら? どうなさるおつもりです? アデルに帰るのを指を咥えて見てるおつもり?」
王様「アデルは、勇者出生の地である。優先権はあそこにある」
姫「それも、国同士の決まりごと? バランスをとるための?」
王様「左様じゃ。我らが強引に動けば、まずアデルが黙っておらん」
姫「勇者が希望していたとしても?」
王様「なに?」ピクッ
王妃「姫……。まさか、勇者自身が、婚姻を望んでいると?」
メイド「ひ、ひめさまぁ、それ以上はまずいですぅ、後戻りが――」
姫「はいっ!! 勇者から求婚されましたっ!!」キッパリッ
王様「まことかっ⁉︎」ガタッ
メイド「…………し、知りませんよ、わたし、なにも、しりませんよぉ」
姫「ウソじゃありません! ですから! お認めください!」
王様「……う、うぅむ……」
王妃「勇者が……そう。この国にいると聞き及んではいたが、会ったのね?」
姫「はい!」
王様「当人は、どこにおる?」
姫「魔王討伐に急ぎでかけられました。戻ってきた時には、かならず妃にすると」
王妃「まぁまぁ、あらあらぁ」
王様「な、なんと。必ずと、そう申したのか」
姫「お父様、お母様。これは、政治的側面においてもチャンスなのではないでしょうか?」
王様「……兵士長よ……」
兵士長「はっ!」ビシッ
王様「この国を除く三国に早馬を飛ばせ。四つ国会議を申請すると。仲介役は、法王庁に」
兵士長「頂上議会を……!」ゴクリ
王様「伝文は、“魔王討伐後の勇者の所有権”。――よいな?」
兵士長「ははっ!」ドゲザ
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