655: ◆7Ub330dMyM[saga]
2018/02/18(日) 16:39:17.90 ID:h4MucOXBO
姫「全部、勇者の狙い通りなんですの?」
勇者「ん?」
姫「だって、そうでしょ?」
勇者「んー」ポリポリ
姫「メイドは勇者の身を案じて真実を告白できない、わたくしは大切な友を失わずに済む。罰せられるべき者たちは罰せられ、大円団じゃありません?」
勇者「ははっ、あははっ」
姫「ふふっ、お父様まで巻き込むなんて」
勇者「……大円団なんかじゃないよ」
姫「ど、どうして? だって、結果だけ見れば」
勇者「本来なら罪に問われるべきなんだ。メイドちゃんも。俺もね」
姫「で、でもっ!」
勇者「姫との縁故を利用して、裁かれるべき人が抜け道を通った。苦し紛れの、胸糞悪い結果なんだよ」
姫「……っ」
勇者「これから俺たち三人は、罪を共有してく。それは、王にウソをついた不敬罪、隠匿罪。まぁ、そこさえ気にしなきゃいいんだろうけど」
姫「わたくしは、気にしません」
勇者「……メイドちゃんによろしく伝えておいてよ」
姫「あの子、会いたがってましたわよ。勇者が、くれた、銀細工……ススだらけになるまで持ち歩いて」
勇者「また機会があったら遊びにくる」
姫「腕は? 本当に大丈夫ですの?」
勇者「なんとかなるんでない。わかんないけど」
姫「……あいかわらず、なんですのね」
勇者「あ、ねぇ。ひとつ聞きたいんだけど」
姫「なんですの?」
勇者「ここらへんってさ、花ってある?」
姫「花? サボテンに咲く花ぐらいかしら……」
勇者「なにか、伝承があるとかない? 雨と太陽が交わる場所とか」
姫「雨と、太陽……あぁ、“結晶の薔薇”のことですわね」
勇者「ほ、ほんとにあんのっ⁉︎」
姫「自分で聞いたのではないですか」
勇者「いや、そうなんだけど。まさか、あるとは」
姫「ありますわよ。ただ、今はありませんけど」
勇者「今は? 時期的な話? ここ気候は年中同じだよね」
姫「いいえ、年に一度、雨が降るんですの」
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