613: ◆7Ub330dMyM[saga]
2018/02/12(月) 21:39:07.92 ID:tIpqN2UtO
【数十分後 魔王城 玉座】
大臣「魔王様。間違いありません、鑑定の結果、勇者の腕だと判明いたしました。罠と思われる術式やアイテムの形跡もなく、ベビードラゴンの唾液のみです」
魔王「そうか……」
大臣「おそれながら……もう、自身のだした命令を撤回するのはやめなされ」
魔王「ベビードラゴンのみならず、お前まで小言を言うつもり?」
大臣「ワシは魔王様の家臣でございますゆえ。必要な忠言だといつも申しておりますに」
魔王「小言はいつものことだったわね」
大臣「魔王様。決して、ブレてはなりません。貴女様の絶対的カリスマは、迷うてはならぬのです」
魔王「……」
大臣「……簡単に許したのは、竜王を死罪にしたくなかったのでしょう? らしくもない」
魔王「損得よ。次期竜王は確実に弱くなるならば、今の竜王に続けてもらった方が利益になる」
大臣「……そういうことにしておきましょう。ですが、良いですな? こういうことはこれきりにしていただきたい」
魔王「気になるのは勇者」
大臣「“やめたい”と、そう言っていたことですか?」
魔王「もし、もしも本気でそう考えているのならば、より注視をしなければ」
大臣「なぜでございましょう? 魔族にとって都合が良いのでは」
魔王「辞めるのならば、ね。でも、おそらく――私の推測がただしければ、“勇者は狂う”」
大臣「狂う? ですと?」
魔王「“勇者として輝くか、ニンゲンとして狂うか”。くふっ、うふふっ、あは、あはははっ」
大臣「ま、魔王様……?」
魔王「大臣よ。竜王に処刑を命じた後に余はこう問いたな。勇者はなにを失っておるのかと」
大臣「はい、魔王様はなにも失っていないとの発言を」
魔王「間違っておった!! 間違っていたのだ!! あっはっはっ!」
大臣「……?」
魔王「勇者は、闇に堕ちるやもしれんぞ……くふふっ、うふふっ」
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