勇者「ニートになりたい」
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603: ◆7Ub330dMyM[saga]
2018/02/10(土) 22:46:01.71 ID:nMxbtsuVO
【数時間前 クィーンズベル 郊外】

勇者「勇者によるワンポイントレッスン! はぁじまーるよぉー!」

ベビードラゴン「……」ポカーン

勇者「拍手! 歓声!」

ベビードラゴン「わ、わぁ〜」パチパチ

勇者「うむ! いいか、まず本作戦のキモはいかにしてウソがばれないかだ! といことは、つまり、大大大大前提としてウソをつく! これをまずわかれ!」

ベビードラゴン「いや、そったらごど言われんでも」

勇者「いいや! わかってない! ウソを舐めるな! ウソなんてものはすぐボロがでちまうもんだ! まず、第一の基本! ポーカーフェイス!」

ベビードラゴン「……」キリッ

勇者「わざとらしいわボケナスゥッ! 自然体でいいんだよ自然体で。ポーカーフェイスは決して動じないこと。これに尽きる。予期せぬ質問がきても鉄仮面をかぶれ」

ベビードラゴン「は、はいっ!」

勇者「魔王であっても竜王であっても本当に心が読めるわけじゃないんだ。忠誠を誓っているのに、後ろめたい気持ちなくウソをつけるか?」

ベビードラゴン「が、がんばるっ」

勇者「やれ。絶対にやりとげろ。じゃなきゃ竜王が死ぬ。いいな?」

ベビードラゴン「……」ゴクリ

勇者「実際目で見た情報があれば信じやすい。それは変わらん。これ視覚から訴えかける情報量が強い。獣族は嗅覚かもしれんが」

ベビードラゴン「うんうん」

勇者「まずは竜王城に帰り。勇者と戦ってきて勝ったと報告しろ。喋るときは淀みなく喋れよ? かといって饒舌になりすぎず、普段通りだ。聞かれる前に証拠を差し出せ」

ベビードラゴン「証拠ってなに? 剣? んだども、それじゃ信じてもらうには」

勇者「俺はリリスなどを逃したことがあるから、魔族に温情や同情をかけたと思われるかもしれん」

ベビードラゴン「うん」

勇者「というわけで、俺の左腕を噛みちぎれ」

ベビードラゴン「へ?」

勇者「どっちみち、剣だけで信じてもらえても取り返しただけってことで竜王は死ぬ。管理体制が甘いとか、不祥事の責任っていわれたらそれまでだから」

ベビードラゴン「そ、そりゃぁ、そうかもしんねけど」

勇者「さらなる特典が必要だ。恩賞をかけてもらえるだけの。俺も死ぬわけにゃいかんから利き腕じゃない腕が精一杯」

ベビードラゴン「ほ、ほんきかっ⁉︎ おめぇっ⁉︎」

勇者「(ニートになるための必要な犠牲と思えば)……本気だ!」

ベビードラゴン「……ま、マジ……?」

勇者「たぶん、オナニーを左手でできんのが不便だなくらいだと思う、きっと、おそらく」

ベビードラゴン「いや、もっと色々不便になると思うけんど」

勇者「そんで、竜王を突破したら次は魔王だ。魔王は竜王の命運の決定権を持っている。ここはわかるな?」

ベビードラゴン「う……いや、腕を無償で差し出されたら……魔族の名が……」

勇者「竜王のためになんでもするんじゃなかったのか! プライドは捨てろ! 誇りなんて忘れちまえっ!」

ベビードラゴン「うぅ……わがっだよ、わがった」

勇者「魔王には、こう切り出すんだ? 今から俺が言うことをよぉ〜く覚えて帰れ」


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