541: ◆7Ub330dMyM[saga]
2018/02/07(水) 22:10:54.51 ID:1ts2l6j1O
姫「そうなの?」
僧侶「私は、理由が、なんとなくわかるのですが……」
武闘家「な、なんだって?」
姫「して、理由とは?」
僧侶「おそらく、勇者として見てほしくないのだと思います」
姫&武闘家「勇者として、見てほしくない?」
僧侶「確証はいまだ持てませんが。考えを巡らせると、そこにたどり着くような気がしてなりません」
姫「なぜです? 比べるのもバカげていますが、王よりも尊い存在だと言えるかもしれない唯一無二なんですの」
僧侶「……そこに、根が張っているのではないかとぉ」
姫「わかるように説明なさい」
僧侶「生まれながらにして勇者。その孤独を想像した経験はございませんか……?」
姫「ないわね」キッパリ
僧侶「大抵の人は勇者に羨望の眼差しを向け、時には嫉妬さえ抱いていると思います。なぜか? 勇者が符号として成立してしまっているからです」
姫「……」
僧侶「恩恵とでも言いましょうか。様々な高待遇を約束され、魔王討伐という伝説に彩られた華道を進める」
姫「それで? 王族だって似たようなしがらみにとらわれているんですの」
僧侶「そうなのですが……勇者という職業は……」
姫「妄想はしなくてよいのです。“なにしろ勇者なのですから”」
僧侶「王族でさえ、色眼鏡で見てしまわざるを得ない存在なのです」
姫「あっ、当たり前ですのっ!」
僧侶「……」
姫「この世界の希望なんですのよ! 私達が勇者をサポートしなければ!」
僧侶「はい……おっしゃる通りです……」
姫「妬みなぞもっての他!」プイッ
僧侶「……そう、ですね……」
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