471: ◆7Ub330dMyM[saga]
2018/02/03(土) 21:24:03.71 ID:0GHFRMQmO
【再び 廃墟】
お頭「どうして驚いて……いや、ちょっと待て。頭を整理したい」
ジャン「(まずいぞ。弟はいったいどこに……)」
お頭「使者よ……ジャンっつったか。おめェの指摘には間違いがいくつかある」
ジャン「あ……はい? 間違いとは?」
お頭「たしかに俺ァ金が好きよ。ボンクラ衛兵も、お前も好き。ソレに違いはねぇ……ただな、俺にとっちゃ、カネなんてものは手段にすぎねえ」
ジャン「……?」
お頭「“金に溺れてるつもりはねぇ”。そういうこった。富、権力、そういうものを追い求め野望を胸にしてりゃ、金は後からついてくる。金なんてもんは所詮――」ゴソゴソ
ジャン「……」
お頭「贅沢をするための、道具だ」チャリン
ジャン「さっすがお頭――」
お頭「腹をわって話しようぜェ? ジャンさんよ。おめぇは“カネに使われるモノか”、“カネを使うモノか”。どっちなんだァ? あぁ?」
ジャン「なんのことやら、さっぱり」
お頭「くっくっ、とぼけるんじゃねェよ。俺の手下を無能呼ばわしたお前が、これぐらいを察しがつかねぇでどうする。そんな無能なら、俺がいらねェ」
ジャン「……そうですねぇ、いずれは一人立ちしたいと考えています。いつまでもコキ使われるのはイヤなので」
お頭「盗賊になるか?」
ジャン「俺は働くのが嫌いなクズなんですよ。盗賊だって社会からはみ出して、人の迷惑をかえりみない犯罪まがいのことやっちゃいるが、ルールがある。働いてますよね、一応」
お頭「一般人が積み上げてきたものをぶち壊す汚ねェ手段ばかりだがな」
ジャン「性善説なんてありえませんし、あなた方みたいな人は、人が人間である以上、必ず出てくる。必然的にね」
お頭「……」
ジャン「そんなに複雑な話じゃないんです。私は、のんびり気ままなニートを目指してまして」
お頭「ニート? てェと、無職、世捨て人になるつもりか」
ジャン「今の肩書きを捨てたいだけなのかもしれませんね」
お頭「ほかに大きな野望はねェのか?」
ジャン「そんな先のことまで考えてませんよ」
お頭「そうか……骨のあるやつを期待したんだがな」
ジャン「お頭のおっしゃっている意味は理解できます。その先になにを求めているので? カネが主目的ではない、後からついてくる副産物なら……」
お頭「“国盗り”よ。それが俺の夢であり、盗賊としての野望」
衛兵「く、国盗り……お頭、自分も初耳です」ゴクリ
お頭「そんなんだからおめェはカネに振り回されてんだ」
ジャン「(こいつは……どうしたもんでしょ)」
お頭「ジャンよ、おめぇのここ(胸)になにもないんなら……カネほしさに国を潰せる突き抜けたクズ野郎か?」トントン
ジャン「宝を奪い、財政難に陥れるだけで国が陥落するわけがないでしょう。そうなる前に、ハーケマルや他の機関が援助に動きだします」
お頭「くっ、くっくっくっ。そうはならねぇのさ。なぜなら、落とすからだ」
ジャン「戦をしかけるおつもりで? たった百人たらずの盗賊団で?」
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