勇者「ニートになりたい」
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438: ◆7Ub330dMyM[saga]
2018/01/31(水) 17:24:58.09 ID:Ks50AJWbO
【クィーンズベル城 玉座】

王様「本当に、ウチのバカ娘が申し訳なんだ」

ジャン「私は気にしておりません」

王様「う、む。そう言ってくれるのはありがたいのだが。どうだろうか、本心を聞かせてもらえぬか」

ジャン「と、申されますと?」

王様「国を代表する使者として来場している身。母国に忠あればこそ、報告する理由があろう」

ジャン「(あのおっちゃんもだいぶ白髪が目立つようになってんな。喋り方まで。苦労してんだろな)」

王妃「陛下同様、妾も身体に大事ないか心配しておった。傷の具合はどうか……?」

ジャン「(なんでこんなできた親からあんな娘が。……甘やかしだろうな。原因は)神職様に手厚い治療を受けまして、この通り。すっかり傷も癒えましてでございます」

王妃「いつもの貴族ではないようですが……」

ジャン「(ぎ、ぎくぅっ!)あの方は流行りのインフルエンザにかかっておりまして」

王妃「まぁ……そうであったか。北では難病が流行っておったか」

ジャン「収束傾向を見せておりますのでご心配なく」

王妃「ハーケマルに戻った暁には、私も民たちの安全と健康を心より祈っていると伝えておくれ」

ジャン「御意」ペコ

王様「話を戻すが、なにか、望みの物はあるか?」

ジャン「(賄賂だな。物を与えるかわりに黙ってろと。すんなり黙っていますでは忠義がないと判断して、受け取らなければ信用しないつもりか)……では、出立の際に金貨を10万ゴールドほど」

王様「……ふむ、よかろう」

王妃「気を悪くしないでね。これもまた、政治なのです。両国が正しく、良い関係を続けるための」

王様「うむ。お主の国に対する忠義を疑っているわけではない、ただ、保険として――」

ジャン「陛下のご意向。私もしかと感じております。両国の発展と、民が安心して暮らせるのならば、是非もなく」

王様「ほっ⁉︎ ほっほっ。優秀な若者……仮面をかぶっておるからわからんが、優秀であることに違いない」

ジャン「(いやぁ、ホントは素顔で会いたいんだけどね。クソ姫がいるからね)」

王妃「貴方の家柄を取り立てるよう、私からハーケマル王に文を持たせましょう。今後の使者としても」

ジャン「いっ⁉︎ そ、それは、さすがに出来過ぎといいますか」

王様「謙虚な。……国を想う心がそうさせるのか。うむっ! 気に入った!」バンッ

ジャン「陛下。そんないっときの気分で人事を」

王様「ワシの見る目を疑うというのかの?」ギロッ

ジャン「(こ、こいつら……っ! やっぱり親子やんけ!)」

王妃「陛下は一度言い出したらきかぬ頑固者なのです。まったく、あの娘も変なところばかり似て」

王様「だから可愛いのよ」

王妃「ええ、そうですね。ふふっ」

ジャン「(甘やかしてる片鱗を見た気がする)」

王様「使者よ。此度の来訪の目的は隠密での視察だと聞いておるが」

ジャン「はい」

王妃「ハーケマル王も人が悪い。私にさえ秘密にするなんて」

王様「自由に見て回るがよい。大臣よ。この者に、首飾りを」

大臣「かしこまりました」ゴソゴソ

王様「使者よ。心して聞け。今から渡すものは、王家代々伝わる由緒正しき宝具。それを身につけてさえおれば、王族同等の扱いを受けるであろう」

ジャン「畏れ多い。よろしいのですか?」

王様「たかだか10万ゴールドなどはした金で水に流してもらったのだ。こちらも器量を見せねばな。ここに滞在する間のみの貸し出しだが」

王妃「これも、クィーンズベル王陛下のご采配があればこそ……ハーケマルの使者とはいえ、寛大さに感謝するように」

ジャン「はっ!」ドゲザ


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