勇者「ニートになりたい」
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414: ◆7Ub330dMyM[saga]
2018/01/29(月) 16:48:18.49 ID:vTFPOFUKO
【クィーンズベル城 南西方向 廃墟】

ガンダタ「飯だ」

見張り番「おっ、やっと飯か。……ん? なんだそれは。なんで2つも持ってんだ? まさか、あいつの分か?」チラ

少年「……」

見張り番「いらねーよ! もったいねぇ、よこせ、俺が食う!」グィ

ガンダタ「人質は生きてなくちゃ意味がねぇ。お頭からの指示だ」

見張り番「お、お頭ァ? ほんとかよ、それ」

ガンダタ「ああ」

見張り番「チッ、だったらしょうがねぇか。俺は酒とってくる。ガンダタさんよ、その間見張り番頼んだぜ」テクテク

ガンダタ「……」スッ

少年「……」ビクゥ

ガンダタ「……飯だ、食え」コト

少年「い、いらない。ねぇ、家に帰して。なんでここに連れてこられたの、家に帰してよ……うっ、うっ」

ガンダタ「食わなきゃ力つかねーぞ」

少年「……」

ガンダタ「お前は単なる人質だ。生きてさえいりゃ家に帰れるだろうよ」

少年「ほ、ほんとう……? お姉ちゃんに、また会える?」

ガンダタ「希望にすがるのはおめぇの勝手だが、不確定な部分もある。……とにかく、今は食って体力を確保しろ。それがお前のすべきことだ」

少年「うっ、うっ」ポロポロ

ガンダタ「メソメソすんじゃねぇ! ……俺もお前も境遇は一緒よ」

少年「……?」

ガンダタ「牢にいれられ、虎視眈々と脱出を狙う。這い上がるチャンスをな。お前はその機会が与えられるのをただ待ってるだけだがな」

少年「……な、なに言ってるのか、意味が……」

ガンダタ「わからなくていい。見張り番の気が変わっちまったら、取り上げられちまうかもしれねぇぞ」

少年「うっ」ぐぎゅるる〜

ガンダタ「腹、減ってんだろ?」ススッ

少年「よく、わからないけど、ありがとう、おじちゃん」カチャ

ガンダタ「おじちゃんじゃねぇ。俺の名前はガンダタ。いずれアレフガルドの大盗賊団の長になる男よ」

少年「へ、へー」

ガンダタ「ふん、今はこんな場所にいるけどよ。必ず這い上がってみせるぜ」

少年「うん」パクっ

ガンダタ「(旅の若僧め、えらそーに説教たれてきややがって……! お陰でこっちはあの後手下どもに逃げられ……アデルで、だ、大工仕事だぁ? いまさらできるかよ!!)」プルプル

見張り番「おぉ〜い、すまねぇな」テクテク

ガンダタ「(見つけたらただじゃおかねぇぞ! ぶち殺して、やつに渡された銀細工を……)」

見張り番「どうだい、お前も酒飲む――」

ガンダタ「ごちゃごちゃうるせェッ!!」ブン

見張り番「え? ちょ……っ⁉︎ うっ!」ドゴォッ

ガンダタ「あっ」

見張り番「」ドサッ

少年「あ、あわわっ」ガタガタ

ガンダタ「し、しまったぁぁぁっ!!」


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