403: ◆7Ub330dMyM[:saga]
2018/01/28(日) 20:14:42.56 ID:5byNfoa1O
メイド「もし、空腹であればお食事のご用意を」
ジャン「それより、許されるならば貴女からお話を伺いたいのですが」
メイド「はい……? なんなりと」
ジャン「姫は縁談相手である王子をどう思っておいでで」
メイド「……それは、その、ここだけの話でしょうか?」
ジャン「約束しましょう。帰っても話さないと誓います」
メイド「当たり障りのないお話を申しますと、あまり、良くは。なにぶん、会う機会すらなく」
ジャン「(じゃあ、初対面で結婚! みたいな感じか。親同士であらかじめ決められる許嫁みたいなもんかね。家柄ってのは難儀だねぇ)」
メイド「この年齢の婦人は、また複雑なのでございます。姫さまは、誰かと恋愛したことすら、ありませんので……ハッ! い、いいえ! 嫁入り前のお身体を傷物にするというわけではなく!」
ジャン「大丈夫ですよ。言っている意味は伝わっています」
メイド「……ですから、その、現実としてまだ直視できていないご様子で……」
ジャン「(ん? いやでもまてよ?)……王妃はハーケマルのご出身では?」
メイド「もちろん、それは使者さまもご存知の通り。なので、王妃様からもご説得をしたのですが」
ジャン「(え? 待って待って。王妃の血族ってことは……いとこ? え? うっすいけど血の繋がりあんじゃね? うはー、まじかよ。いとこやはとこ同士で毎回結婚してるみたいなもんじゃねぇか)」
メイド「……聞きたことというのは、聞けましたしょうか」
ジャン「(あれ? でも、だとすれば……なんだこりゃ、どうなってんだ? ……探り入れてみるか)」
メイド「……?」
ジャン「いやいや、多感なお年頃だとは理解できます。私は当人達の感情よりも別のことが気がかりかと思っておりました」
メイド「別の?」
ジャン「はい。“ハーケマルから婿入りにこれても、クィーンズベルからは誰も出せない”」
メイド「……」
ジャン「(クソ姫は一人娘だ。男の兄弟がいるわけじゃない。王の直径にあたる人物は交換じゃないとパワーバランスが崩れてしまう)」
メイド「その点は、姫様のご裁量にかかっております」
ジャン「我が国……ハーケマル王子を操ると?」
メイド「い、いいえっ! そんなまさか! 子を産み、その子が成人した暁にはハーケマルに送ると盟約を交わされているではありませんか!」
ジャン「(じ、次世代予約システムっ⁉︎ えげつねーことしてんなこいつら)……そうでしたね」
メイド「永遠の友好は、紡がなければならぬこと。姫様ならば、必ずや元気な赤子を生まれるでしょう」
ジャン「(気の長い話だが、一人娘なのはどーしようもないかんな。それが落ち所ってやつなのかね)」
メイド「他には、なにか?」
ジャン「いや、ない」
メイド「それならば、私はこれで。なにかご用があれば備えつけの鈴をお鳴らしください。表にいる衛兵がすぐに使用人を連れてまいります」ペコ
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