勇者「ニートになりたい」
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254: ◆7Ub330dMyM[saga]
2018/01/18(木) 19:44:48.58 ID:0bN6bfFxO
【ミンゴナージュの村】

武闘家「すまない、若い男を見なかったか?」

村人「え? 俺のこと?」

武闘家「そうではなくて。旅の者なんだが」

村人「いや? 見てないよ」

武闘家「……ありがとう」スッ

店主「さぁ〜安いよ安いよぉ〜!おっ! へへ、さっきはどうも」ペコペコ

武闘家「道具屋の店主。早朝は無理をいって店をあけてもらって悪かった」

店主「あぁ、気にしないでくださいよ。こちとら稼がなきゃおまんま食いっぱぐれちまうで。かあちゃんも取り戻すんだーってはりきってますし」

武闘家「連れの者を覚えてないか?」

店主「へぇ? 連れの者というとどちらさまで? 若いお姉さんたちがいましたが」

武闘家「もう一人いただろう? その中に若い男が混じって」

店主「ああ、はい、はい。いらっしゃいましたね。荷物持ちさせられてた小間使いさん」

武闘家「い、いや。小間使いではないんだけどさ」

店主「その方がどうか?」

武闘家「村に戻っているはずなんだけど見当たらないのよ。見かけてない?」

店主「見てないですね……。見たらわかるんですが」

武闘家「本当か? 見落としてるだけとか」

店主「ありえませんよ。客商売をしているとね、お客さんの顔は覚えてるもんなんです。それに、こんな田舎村でしょう? 店舗に来るなんて珍しいんで」

武闘家「そうか……」

店主「ほかのお姉さん達はいらっしゃらないので?」

武闘家「ああ、別の場所にいる」

店主「小間使いさんとはぐれちまったんですかい? そりゃ大変だ」

武闘家「いや、だから小間使いではないと――」

店主「どこではぐれたんですか?」

武闘家「北に数キロいったところに森林があるでしょ。あそこから出てきたはずなんだが」

店主「森林……というと、精霊さまの……」

武闘家「精霊さま?」

店主「へぇ。あの森にゃ古くからある言い伝えで精霊さまのお膝元なんて言われてる森なんでさ。村の者ですら忘れかけてますが」

武闘家「そうか。でも、今はそういう話は」

店主「もしかしたら、神隠しにあったのかもしれませんねぇ」

武闘家「ん……?」ピクッ

店主「いや、これも古くから。子供を危険な場所に行かせない与太話なんですがね。妖精がいるって噂が一時期たったらしいんですよ」

武闘家「妖精……」

店主「いつだったかなぁ。ボヤ〜っとした姿の妖精を見たっていう子がいて。もうだいぶ昔の話なもんで」

武闘家「神隠しとは、どんなもの?」

店主「ふらふら〜っと迷って、いつのまにやら別世界の扉の中に入っているっていう伝承みたいなもんですよ」

武闘家「……そう」

店主「もう一度、森に入って探してみては?」

武闘家「そう、ね。村にいないのならいつまでもいても仕方ない。あ、それと店主」

店主「へい?」

武闘家「トンカチとロープ。貰える?」

店主「お買い上げですかい? ありがとうございます!」


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