勇者「ニートになりたい」
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188: ◆7Ub330dMyM[saga]
2018/01/15(月) 19:52:53.61 ID:SH/yhARoO
リリス「(ど、どうする、もう一度、翼で……!)」

勇者「変な気起こさない方がいいぞ。指先大ほどのちっちゃな穴がどでかい穴にかわる。お前が反応して避けられるってんなら別だが」

リリス「(バレてる。……しかし、勇者に我が一族の特技が通用する……! これは有益な収穫だ……!)」

勇者「お帰りは俺が割った窓か、玄関。お好きな方をどうぞ。手下がいるかわからずじまいだけど、そいつらもね」

リリス「いいのか? 私がこのまま帰れば、お前の所在もバレるぞ。全魔族に」

勇者「まぁ、しゃーないよね。こうなったら」

リリス「安心して眠れる夜はなくなるぞ」

勇者「うん、まぁでもそれももう少しの辛抱だから」

リリス「……? もう少しの、辛抱?」

勇者「(だって俺、勇者やめて遊び人になるし。勇者いなかったら追いかけるのもやめるだろ)」

リリス「なにかたくらんでるのか……?」

勇者「いやいや。そんなたいしたものでは」

リリス「……いいだろう。この場は退散してやる。帰る理由もあるし」

勇者「助かる」

戦士「い、いいのかっ⁉︎ このまま逃して! ライデインを撃てよ! そうすれば口封じできるだろ!」

勇者「いや、いいよ。不要な殺しは」

リリス「なるほど……やはり伝承は事実か」

武闘家「勇者! そんな甘さではこの先生き残れないぞ!」

リリス「くっふっ。たしかに甘い。魔族との友好など! そんな幻想! 実現するものか!!」

勇者「(友好? なぁーにいってんだこいつ)」

武闘家「ま、魔族との友好?」

戦士「勇者、そんなことを考えていたのか……」

勇者「えっ? いや、あの」

リリス「夢物語は絵本の中だけにしておくんだね!」

勇者「(なんか勘違いして盛り上がってるけど、ま、いいか。ほっとこ)」

リリス「その甘さがいつか命とりになる! あーっはっはっはっ!!」バサッバサッ

勇者「ほーい。おつかれさーん」

戦士「ゆ、勇者、お前ってやつは」

武闘家「飛び立ったばかりの今からでも遅くない、さっきの魔法を! なんなら追いかけてでも!」

勇者「いや、いいんだ。これで」


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