【モバマス?】一ノ瀬志希?「志希ちゃん、失踪したくなっちゃったなー」
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7: ◆Z5wk4/jklI[saga]
2018/01/08(月) 21:24:09.93 ID:MruIbyxGO
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 私が机に視線を落として迷っていると、志希さんは立ち上がって、私のほうに歩み寄り、背中からがばと私に抱き着いた。

「ひゃあっ?」

「んー、お姉さん、いい匂いだねー、すっごくぅ〜〜」

 言いながら、鼻を、額を、私のうなじにこすりつけてくる。
 何度も憧れた声が耳をくすぐる。
 何度も憧れた長いまつげが、高い鼻が、私の首筋を伝う。
 何度も憧れた艶のある髪が、蛇みたいに私に絡みつく。

「や……」

「いい匂いがする人はねぇ?」志希さんは、ささやくような声で言う。「いい志希ちゃんに、なれると思うなぁ、あたし」

 ぞくぞくした。
 それは、とても甘い声だったけれど、なんだか身体の芯に氷を当てられたみたいで、私は思わず身震いした。

 志希さんは私からぱっと離れて、もとの席まで戻ると、にぱっと笑う。

「ま、考えてみてね〜」

「そういうことです。お返事、お待ちしておりますね」

 困ったように言って笑ったプロデューサーさんは、私の目のまえに名刺を裏返して置いた。
 そこには、携帯電話の番号が記されていた。

「……すこし、時間をください」

「ええ、もちろんです」

「またね〜」


 私はその返事を聞くと、志希さんやプロデューサーさんのほうを見ないようにしながら、置かれた名刺を取って、その会議室を後にした。

 数日悩んだあと、結局私は、プロデューサーさんに、志希さんの影武者になることを承諾する電話をした。



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