82: ◆nvIvS/Qwrg[saga]
2018/01/06(土) 17:49:44.14 ID:shJ2K7Y00
【漁鬼の鵯・まほ】
日曜日。
眩しい。揺れるカーテンの隙間から射し込む光が顔に当たり、目が覚めた。窓に目を遣ると、結露した水滴がきらきらと光っている。
千代美なら詩的な感想のひとつでも述べるところかも知れないが、生憎私はそんな柄ではない。手で陽光を遮るのにも限界を感じ、顔を顰めるばかりだ。
ならばせめてと寝返りを打とうとすれば、それも敵わない。金縛りかと思ったが、違う。犯人は隣で暢気にすうすうと寝息を起てていた。
こいつは私の事を抱き枕か何かと勘違いでもしているのだろうか。腕どころか脚まで絡めて私の体をがっちりとロックしている。道理で動けない訳だ。
辛うじて自由が利くのは、陽を遮るために布団から出した右手。その手の冷え具合から今日も寒そうだなと思いを巡らせ、凍みる指に息を吐く。
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