北条加蓮「アタシ努力とか根性とかそーゆーキャラじゃないんだよね」
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15: ◆ikbHUwR.fw[saga]
2017/12/31(日) 22:10:56.79 ID:vyCd+JK40
「書いてきたよ、これでいい?」

 翌日、再び事務所におもむいたアタシは、必要事項を記入した契約書をプロデューサーに突きつけた。
 保護者の欄は自分で記入しようとも思ったが、大人っぽい字を書けないからすぐにバレそうだという少し情けない理由もあって、結局、「なにも言わずにこれ書いて」と母に頼み込んだ。
 あれこれ質問された場合の言い訳もいくつも用意していたけど、母は本当になにも問いかけてくることなく、『保護者の同意』に名前を記入し、アタシに返してきた。少し、笑っていたような気がする。

「はい、たしかに」

 記入項目の確認をしたプロデューサーが、顔を上げて大きくうなずいた。

「まだ決めたわけじゃないからね。納得したいから、1ヶ月だけ来てみるってだけだから」

「はいはい」

 どうも調子が狂う。のれんに腕押しという感じで、こちらの気持ちが伝わってる気がしない。

「おっ、加蓮ちゃんおはよ」

「あ……加蓮さん、おはようございます……」

 ドアが開き、杏と乃々ちゃんが部屋に入ってきた。どちらも反応が軽い。なんで? 昨日アタシはかなり険悪な空気の中で出ていったはずなのに。

「昨日あのあとね、加蓮ちゃんがまた来るかどうか、ジュース賭けようって言ったんだけどさ、みんな『来る』のほう選ぶから、賭けにならなかったよ」

 杏が言った。怒るよりも呆れてしまった。もしかしたらアタシの人生を左右するかもしれない選択に、ジュースって。

「そうだ、はいこれ」

 杏がゴソゴソとバッグの中を探り、携帯ゲーム機をアタシに差し出してきた。

「なに?」

「ひと狩りいこうぜ」



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