602: ◆vVnRDWXUNzh3[sage saga]
2018/08/22(水) 23:22:26.59 ID:OtTN9X5Y0
「…………あぁ、ありがとうございます」
一通りの指示を出し終えたところで、一度通話を切り椅子に深く座り直す。そのタイミングを見計らっていたかのように女店主が無言で差し出した紅茶に、礼を言いつつノータイムで口を付けた。
「────っふぅ」
極上の味と最適な温度を兼ね揃えたアッサムティーが渇いた喉に染み渡り、生き返ったような心地に自然と吐息が漏れる。
同時に、アスパラガスは何故ダージリンがこの店を待ち合わせ場所に選んだかを概ね察した。地理的な問題や目立たずに済む等思い当たる節は幾つかあったが、最大の理由はここの紅茶が絶品だからに違いない。
(大洗関連であれだけ取り乱してた癖に、妙なところはブレないざますね)
そんなことを考えながら、横目で隣に座るダージリンを見やる。丁度彼女も通話を終えたところで、ティーカップに手を伸ばしながら此方の視線に気付いて首を傾げた。
「………私の顔に何かついているかしら?」
「舌が三枚ついているのが見えるざますね」
「まぁ非道い」
此方の飛ばした皮肉に、ダージリンはクスクスと笑う。
何が非道いものか。彼女達が標榜する本家英国など、歴史を紐解けば百枚舌でも足りないというのに。
「それで、貴女の方の首尾はどうかしら?」
「とりあえず、今急ピッチで情報収集体制を構築している真っ最中ざます。防衛省は流石に口が堅いが、文科省経由で学園艦に対する国の大まかな動向や方針が拾える目処は立った。
ボルドーには大洗女子学園関連の情報を最優先で収集し聖グロリアーナ側にも共有するように言ってあるざます。……まぁ、あいつなら確実に仕事をしてくれる筈だ。ムールの補佐もあることざますし」
「随分打ち解けたようねぇ」
ダージリンの目が軽く見開かれる。自由側とBC側に分かれて骨肉の内紛に明け暮れていた時期を知る故に、わりかし本気で驚いているようだ。
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