569: ◆vVnRDWXUNzh3[saga]
2018/08/07(火) 22:59:27.34 ID:5Rjb8J6V0
ロシア連邦への内陸浸透こそ防いだものの、ロマさん自らが陣頭指揮に立つなど“海軍”が全力で支援して尚勝利には町一つ丸ごとを犠牲にしなければならなかったムルマンスク。
寄生体、幼体から変異した新型の駆逐艦種、鎮守府所属のロシア軍まで巻き込んだ町を挙げてのクーデター、そしてイスラーム勢力の介入………過去には無かった種類の事象が数多く絡んだことや、ある程度経緯を知っていたであろう同鎮守府の提督が戦死していたこともあって、大本営の方でも未だにその解析は進んでいない。
今回この町がもしムルマンスクと同様の事態に陥りつつあるとするなら、“海軍”の経験さえ役に立たない可能性が高くなる。故に二人は、早い段階から様々なルートを通じて自衛隊には「深海棲艦を刺激するべきではない、増援の到着まで動かない方がいい」という“意見具申”を繰り返していた。
恐らく日本艦娘艦隊の“元帥”や、この間鎮守府に来ていたデメキンを生卵でコーティングして光沢をつけたような顔面の総理大臣からも似たようなニュアンスで指示は出ていたと思う。にもかかわらず威力偵察という形で前線部隊は学園艦に接触し、深海棲艦の大規模な攻勢を招いた。
(まぁ、向こうにもいろいろあったとは思うけどね)
世界は、私達の提督のように脊髄と気分で動く単純なものではない。況してや自衛隊は、今や世界屈指の軍事組織である一方そもそも正式には軍隊ですらないという、筋金入りにややこしい存在だ。今回の“威力偵察”についても、向こうにのっぴきならない事情があったことやその内実は概ね予想がつく。
だが内実がどうあれ、その行動の“結果”が重く厳しいものであることには変わりが無い。
威力偵察による敵艦隊挑発の“結果”、その初動で大洗町防衛線は早くも甚大な打撃を受けた。
(どれぐらい、やられちゃったのかな)
町の惨状を、改めて眺める。ここに自衛隊や自衛隊付の艦娘が具体的にどれ程の兵力で展開していたのかは知らないが、広がる光景からどれ程の損害が出たのかについては想像に難くない。
そしてそれは恐らく、世界規模の侵攻によって国内外何れの地域からもこれ以上の増援・戦力補充は今しばらく見込めない現状にあっては、致命的という表現すら過言ではない事態のはずだ。
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