545: ◆vVnRDWXUNzh3[saga]
2018/07/21(土) 23:03:06.59 ID:Ju5Lf/AP0
人間で言うなら恐らく側頭部に当たるだろう位置に深々と突き刺さった刃。だが不知火が扱うナイフの刃渡りはせいぜい20cm前後で、ギリギリ銃刀法違反に引っかかる程度の長さでしかない。
五メートルを超えるイ級の体躯と比してあまりにも浅く小さいその傷口は、本来なら致命傷となるものではないだろう。
あくまでも、彼女の刺突がその一撃“のみ”だった場合の話だけど。
「………つまらない」
『ィギッ─────』
吐き捨てるような呟きと共に不知火がナイフを抜き取る。同時に、イ級が弱々しい鳴き声を一つあげた後彼女とは反対側へ倒れた。
体表に口を開けるナイフの刺し傷から、青い体液が溢れ出る。……どう少なく見積もっても優に20は越えているだろう傷口からの出血量は尋常ではなく、たちまち不知火の足下には生臭い水たまりができあがる。
(相変わらず、速いなぁ……)
提督の指導の下修練を積んだ不知火のナイフ捌きは、かの青葉をして「目で追うことが難しい」と言わしめる程だ。まさに“神速”と呼ぶに足る手数は、彼女が扱う得物それ自体のリーチの短さと一撃辺りの威力の低さを補って余りある。
628Res/562.90 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
書[5]
板[3] 1-[1] l20