488: ◆vVnRDWXUNzh3[sage saga]
2018/06/29(金) 01:11:13.82 ID:XlCsDid20
軽口の応酬の後、南はぶつくさ言いながらもスマートフォンを取り出しどこかへ電話を始める。……軽く聞き流している限り、外務大臣経由ではなく直接外務省の職員に電話で指示を出しているらしい。
ともすれば越権行為として大スキャンダルになりかねない手段を必要とあれば臆することなく取れる身軽さは、南慈英という政治家の最大の武器だ。だが同時に、そうした破天荒な行為をされても「南なら仕方ない」と閣僚達に納得させてしまう人徳・カリスマもまたそうした彼の行動力を支える隠れた才であると王嶋は踏んでいる。
(☆...●)(……大方、在日米軍の大規模増援も杉浦辺り使ってこいつが“わたり”をつけたんだろうな)
これについてもやはり、横須賀司令府の元帥である王嶋や外務省、或いは防衛省を通じて段階的な手続きを本来は必要とするもののはずだ。だがそれを南は一足飛びに自分の“仕込み刀”で片付けてしまい、昔なじみという点を差し引いても頭ごなしの仕事をされたにも関わらず王嶋には不思議と不快の念がない。
つくづく、“政治家”としてのあらゆる能力が化け物じみている。……顔も別の意味で化け物だが。
(☆...●)(………化け物といえば、大洗町防衛線の崩壊を防いだのは何者なんだ?)
はっきりと言ってしまえば、威力偵察の失敗と【あきつしま】の轟沈、そして直後に行われた大規模空襲という深海棲艦の一連の攻勢を受けて、横須賀司令府では疾うの昔に大洗町並びに大洗女子学園、さらにはひたちなか市を始めとするその周辺地域の失陥まで視野に入れた防衛線の再設定を開始していた。無論完全に状況の打開を諦めたワケではなかったが、少なくとも今から“最悪”を想定しなければ間に合わないと思わせる程度にはあのとき大洗町の戦況は最悪だった。
628Res/562.90 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
書[5]
板[3] 1-[1] l20