412: ◆vVnRDWXUNzh3[saga sage]
2018/04/20(金) 00:34:44.62 ID:uNk0GEdi0
攻撃隊の機体数が増えたとは言っても、私達を含め大洗町や近隣市街に展開する自衛隊・艦娘部隊は何も町を埋め尽くすようにして布陣しているわけではない。各所に構築された防護拠点への攻撃となれば、どうしても編隊の突入軌道は集約してしまう。
加えて、幾度かの襲撃を経て私達も奴等の速度や軌道を身体で覚えた。特に戦果に欲を出した第三波へ痛撃を与えることに成功し、少なくとも私達の拠点はある程度の落ち着きを取り戻しつつある。
結果、この第四波で私達はようやく奴等をまともに迎撃できるようになっていた。
《此方2号車、敵編隊新手を9時方向に視認!火線其方に向けます!》
《第4班、2号車の後方をカバーしろ!引きつけて撃てよ、89式でも十分落とせる!》
《狙撃班とLAVはとにかく【ダスター】に突っ込んでくる敵を狙え!対空砲を失ったら今度こそ物量に押し潰されるぞ!!》
私や2号車の操るM2機関銃だけではない。M42の40x311mmR弾を中心に大小様々な火線が空に撃ち上がり、被弾した機体は殺虫剤の煙に巻かれた羽虫のようにボトボトと力のない軌道で墜落する。
《敵機複数が投弾、爆撃来ます!!》
《非爆装機、一個編隊が低空飛行で突っ込んでくる!機銃掃射だ!!》
「歩兵は再度退避!総員、衝撃に備えて!!」
尤も、“まともな迎撃”ってのは別段私達の戦況の好転を表す言葉ではない。あくまで敵航空隊にもそれなりの出血を強いれるようになったというだけの話で、依然置かれた状況は厳しい。
「くぅっ……!」
何発かの爆弾が、拠点の近くに落下して炸裂する。逆巻く爆炎を切り裂いて機銃の火線が数条地面を撫で、アスファルトを弾丸が削り土煙を上げる。
「ぐぁっ……!?」
機銃掃射から逃れようとした歩兵の一人が撃たれる。背中から袈裟懸けに弾丸を受けたその陸士は勢いよく地面に転がり、2、3度痙攣した後血溜まりの中で動かなくなった。
「……野郎!!」
『!!?』
顔見知りだったのだろうか、その光景を見た別の陸士が彼を射殺した【カブトガニ】に向かって89式小銃を放つ。3点バーストの弾丸を全て食らった機体はど真ん中に風穴が空き、一瞬錐揉み状態になった後空中で火を噴きながらバラバラに砕け散った。
やり返せてはいる。だけど、撃ちつ撃たれつの消耗戦で不利なのは戦力に限りがある私達だ。一刻も早く状況を打破する必要がある。
(防衛線全体の混乱も少しずつ収束しつつある。けれど、通信が途絶した部隊や拠点もこの短時間でかなりの数に昇るわ)
艦娘戦力も中大破が報告された艦が相当数に昇り、状況的に後衛の戦力を前に繰り出す余裕も今はないだろう。
さりとて、増援が送れるだけの態勢をCPや大洗鎮守府が整えるまで待っている暇もない。深海棲艦が“次の手”に出る前に、こちらから動く必要がある。
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