407: ◆vVnRDWXUNzh3[sage saga]
2018/04/18(水) 00:10:24.53 ID:T8AYFd4O0
《各拠点に通達、戦線の維持を────》
CPからの指示の声は、高らかに響き渡った“砲声”によって掻き消される。
キューマルやヒトマルが奏でるそれよりも遙かに重く、巨大なそれ。だけど私には、聞き覚えがあった。
海自並びに横須賀鎮守府第一艦隊との合同沿岸防衛訓練で艦娘・榛名が使用した、35.6cm連装砲のものに響きがよく似ている。
《大洗女子学園甲板上で発砲煙を複数確認!!》
《衝撃に備えろ!!》
────ただしあの時の彼女のそれは、あくまでも空砲だったけれど。
《来るz》
頭上で、大気が粉砕される。巨大な運動エネルギーを伴った鉄の塊が幾つか、凄まじい速度で空を通過する。
瞬き一つ分の間を置いて、後方で次々とわき起こる轟音。着弾地点は何キロも後方の筈なのに、ヒトマル戦車を介して地面の揺れが私の足下にまで伝わってくる。
或いは、私が恐怖に身を震わせているだけなのだろうか。
《此方軽巡洋艦・神通!敵艦砲射撃、島田町北交差点に着弾!同地対空陣地との通信が途絶!》
《涸沼橋、砲撃により崩落しました!》
《平戸町方面への砲撃が激化!同区域展開部隊に損害発生!》
《大洗鎮守府、敷地内に砲弾複数飛来!負傷者多数の他重巡洋艦・加古が小破!》
《CP、此方那珂川河川敷【ダスター】第2中隊!先程の艦砲射撃により損害甚大!状況としては撃破4、大破・中破各2、オクレ!》
《此方涸沼駅、艦砲射撃は我々の元まで届いた!反撃に移らないとじり貧になるぞ!》
反撃────口で言う分には簡単だし、実際大洗鎮守府辺りの残余艦娘戦力を総動員すれば互角の砲撃戦に持ち込むことも十分できるだろう。
だけど、私達にはできない。できるはずがない。
《CPより各位、大洗女子学園には今なお多数の民間人が取り残されていると思われる。学園艦への直接的な攻撃・反撃は許可できない、オクレ》
628Res/562.90 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
書[5]
板[3] 1-[1] l20